アトリエ・マイルストンブログ

2018年12月10日月曜日

冬始まりのアイリッシュ音楽

月曜日・曇り(夜:雨)
アトリエ定休日

先週前半までの暖冬が一転、週明けからは更に本格的な寒さの襲来となりました。
穏やかな「小春日和」の日々に慣れていただけに、寒さがひとしお身に沁みます。

さて新映像アップ不可により図らずも当ブログの今年の恒例となってしまった

「出張ミュージック・ギャラリー(その341)」

をお届けします。

「木枯らし1号」が吹かなかった今冬とは言え、我が町・森の里沿道の木々はすっかり冬支度の様相です。
今夏の大型台風の影響と思われる塩害立枯風だったケヤキ並木やイチョウ並木がその葉を落とし始めました。
同じく、バス周回道路沿いのマロニエやプラタナスの並木も、その美しい紅葉を路面に散らし始めました。
時折発生するつむじ風に煽られ、落葉の群がまるで魚群のような金色の帯状になって路面を走ってゆきます。
そんな折り、筆者の脳裏には条件反射的 或いは自然発生的にある種の音楽のメロディーたちが蘇ってきます。

今回もまた以前(2015年)に当コーナーの初冬にアップしたことのある楽曲で、この季節限定ではありませんが、
その美しい旋律に何故か冬の雰囲気があり、この季節に筆者の脳裏の自動ジュークボックスにて再生されます。

オーラ・ファロン、「ウォーター・イズ・ワイド、シェナンドー(メドレー)」
Orla Fallon, " Water Is Wide "~" Shenandoah (My Land)" Live Medley


"Water~"の方は以前当コーナーにてアメリカのカーラ・ボノフの艶っぽい歌声でもお送りしました。
今回のオーラ・ファロン(2度目)は透明感ある清楚な声質の持ち主で、力むことのない歌唱が魅力です。
以前はあのケルティック・ウーマンに在籍していましたが、今は独立してソロ活動している歌手です。
広くケルト文化圏にて古くから伝わる詞ながら、男女の渡れぬ悲恋を川(または海)に例えて妙味です。
"Shenan~"は19世紀米国の古い歌で、その地域に入植したアイルランド系の人々の影響があります。
こちらもネイティブ・アメリカンの娘との道ならぬ悲恋をシェナンドー川に例えて綴った内容です。
ライブでは、アイルランド伝統のティン・ホイッスル(ブリキ笛)やバグパイプ等が効果的で快感です。



さて2曲目も彼女の同ライブからで、ゲストの男性シンガーと共に美しいメロディーを歌い上げています。
この曲もアイルランド発祥の作者不詳の古い歌で、美しい旋律はスコットランド民謡と共通性があります。
アイリッシュ音楽とスコットランドは文化圏的にも同じケルト民族として、共通のルーツを有しています。
また余談ながら、
我が国で以前流行った「五番街のマリー」の主旋律も、ここら辺からインスパイアされていること確実です。

オーラ・ファロン、「レッド・イズ・ザ・ローズ」with トミー・フレミング
Orla Fallon, " Red Is The Rose " Featuring Tommy Flemming (My Land),Live



「ダウン・バイ・ザ・サリー・ガーデン」、アイルランドの教会聖歌隊(詳細不明)
" Down By The Sally Garden ( Irish: Gort na Sailean)"

サリーは柳(willow)のことで、若かりし頃にデートをした思い出の場所で、その後の失恋を歌った楽曲です。
動画の説明文が全てアイルランドの言語(ゲール語?)で記されていて、伴奏者の指名以外の詳細は不明です。
聖歌隊ほとんどが女子で、数名の男子はやる気なし(てれ隠し?)の表情で、彼の国も我が国と同様なようです。
バックのフィドル(バイオリン)、ブリキ製のタテ笛、ギター、ウッドベースの4名の伴奏も味わい深いですね。

最後にもう1曲
同曲、前段に登場のオーラ・ファロンさんが歌った歌詞付きヴァージョンもお届けします。

オーラ・ファロン、「ダウン・バイ・ザ・サリー・ガーデン」
( 注:曲名のサリーの部分の英語スペルは2種類あります。)
Orla Fallon, " Down By The Salley Garden " with Lyrics

美しい旋律に心が洗われるようで、北方からの透明な大気とアイリッシュ音楽がコラボする季節の始まりです。
筆者の大好きな抒情ある美しい季節、「冬」の到来です。

* * *

「 冬始まり(後日追加画像) 」

冬特有の乾いた大気がもたらす透明な青空と、褐色を帯びた繊細な木立や草原の色彩が美しいです。
( 注:残念ながら、下の写真は昨年の同時期の様子です(今冬の撮影分、アップしたいものです)。

森の里センター(3丁目)より南(若宮橋方面)を望む

ケヤキ坂、森の里3丁目交差点より北(アトリエ・上古沢方面)を望む

森の里・上古沢間 接続S字坂より北の空を望む(昨年までの定点撮影地:アトリエ背後の丘頂き)



「 筆者 後記雑感 」

アイリッシュ音楽、筆者の最初の出会いは幼少(幼稚園~小学校低学年)の頃に聞いた「ダニーボーイ」です。
当時、米国軍政下の故郷は民間の電波が著しく規制されていて、ラジオやテレビの放送は制限されていました。
映画等の洋モノ好きだった父のおかげで、筆者宅には有線の「親子ラジオ」と言う再生装置がありました。
そこから流れ出でてくるのは100% 米国のポップスで、50~60年代のジャズやカントリー等もありました。
グレン・ミラー、ルイ・アームストロング、ドリス・デイ、ジョ二・ジェームス、ボビー・ダーリン・・・、
そんな中、移民の国らしくアメリカンナイズされながらも色々な人々の出身地の音楽もかかっていました。
子供心に喰いついたのがジャマイカの「バナナボート」やトルコの「ウスクダラ」等、ヘンテコ物が大好きでした。
そんなヘンテコ音楽ではないハリー・ベラフォンテらの「ダニーボーイ」も何故だか子供心をくすぐったものです。
静かなバラードで哀愁漂うその旋律には何らかの魔力みたいなものがあって、それに惹きつけられたのでしょう。
筆者の故郷もアイルランドと共通の境遇があり、南北の差こそあれ、民族性に似たものを感じたのかもしれません。
また音楽的にも沖縄古典民謡の琉球笛を使用した「月ぬかい(美)しゃ」等、かなりの共通性を感じてしまいます。
筆者もアイリッシュ(ケルト)音楽好きが高じて、変則チューニングを用いたギター演奏を特に冬に楽しんでいます。

現在も東京を通り越した各種交流が両者間で多数あり、故郷やかの地の著名音楽家たちも互いに往来しています。

不毛の大地アイルランド、筆者の故郷同様、苦渋を舐め、数多の移民を送り出した地でもあるアイルランド、
筆者の大好きなバンドのU2や、ヴァン・モリソンもコアーズもクランベリーズも皆アイルランド生まれです。
哀愁の調べを生み出した苦難の歴史ある彼の地アイルランド、残り少なくなった人生で一度は訪れてみたい土地です。

By T講師

P.S.「祝・グランプリ・ファイル初出場・初優勝:紀平梨花 選手」

2018フィギュア・スケート:グランプリ・ファイルにて女王ザキトワに勝る最高の演技を披露、完全優勝!
見事でした。
(米国留学中の本田真凜選手の復活も望んでいます。)