アトリエ・マイルストンブログ

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2016年10月12日水曜日

T講師のアート・ワーク:3

水曜日・晴れ のち 曇り
アトリエ定休日

「T講師のアート・ワーク(その3)」
チョー久々の「デッサン講座(その5)」

「旧作(その3):写生デッサン」

チョー懐かしの筆者若かりし頃のデッサン画像、正直言って照れくさいです。
ですが、このコーナーを開設した以上、避けることなく掲載することにしました。

下3点は今から40年以上前、美術系学校への進学を目指して予備校へ通い始めた頃の作品です。
美大などの情報が皆無に近かった地方出の筆者、耳年増な現役高校生に混じって夜間部で入門を。
そんな都会っ子たちに混じって初めて描いたデッサンは、擦筆ボカシ風に仕上げた洗顔石鹸が3個。
「あれ、見ろよ」「何それ?」「変な描き方!」無知な筆者、周囲の高校生たちに笑われてしまいました。
鉛筆の明確な線1本1本を集積して調子を加えてゆく描法など、それまで見たこともない筆者でした。
「デザイン科志望は鉛筆・静物デッサン」「油絵科志望は木炭・石膏デッサン」等、知らないことばかり。
そんな皆目・無知スタートから約半年後、筆者は鉛筆デッサンの達人となって日々を楽しみました。
昼間部200名+夜間部50名の上位となり、各期末のコンクールでは最優秀作品にも選ばれました。



思い起こせば小学生時代、大好きな戦闘機などの描画熱中の経験が、その基礎となったようです。
「ゼロ戦」「隼」「月光」、「メッサーシュミット」「スピットファイヤー」等々、その機影が筆者を育てました。
輪郭形体のみならず、立体的なカウリングの片側ボカシ、金属の照りや質感等、ほとんど職人でした。
そのおかげで、絵の注文が学級・学年を超えて殺到。休み時間も夏休みも受注ごなしで大忙しでした。

「好きこそ物の上手なれ」、「芸は身を助く」とは、先人たちの有名な諺です。
娯楽や玩具の乏しい時代、筆者・数々の注文に応え、そのお礼の品々で部屋がガラクタ置場と化し。
半世紀経った今でも覚えていてくれる輩が多少なりともいて、我ながら「絵師」冥利に尽きる思い出です。

(これでは講座などではなく、またまた単なるプチ自慢の思い出話となってしまいました。ご勘弁をば。)

* * *

「新作(その2):国宝模写開始」

今週、チョー久々の本画新作模写の製作を開始しました。
モチーフは以前からトライしたかった国宝「源頼朝」肖像画です。
アトリエ生徒のAYさんの絹本画や金背画などの一連の試みに刺激されて、その製作を決断しました。

先週、木製パネルを自作、その上に鳥の子紙・古染色(和紙)を水張り、更にその上に人絹をボンド張り。
人絹は東レ製のレーヨンで、その表面にアクリル絵具で中間調・茶褐色に地塗り。その後、トレース転写。
今週・月曜日から、いよいよの描画を開始。



肖像画の核となる暗黒色の衣装、その細部には一面に渡って細かい模様が描かれています。
初めから地色のままの薄黒色に塗ったのでは、細かい模様のトレースが識別不能になります。
そのため、今回は装飾模様部分を先に克明に描写、その後、透明な黒色絵具で重ねることに。
長年、版画制作に従事して数々の日本画の複製出版に携わった筆者、細かい描写は得意です。

その他には、下地・滲み止めとして、顔面部にアタリ(試し)の白色を薄く半透明に塗りました。
さてこの先、どうなっていくのやら、チョー久々の本画に筆者本人も大いにワクワクしています。

その後の製作の様子、適時、ブログにアップしてゆきます。

By 講師T

2011年10月10日月曜日

デッサン講座ー4

3連休最終日、アトリエはお休みです。なので、今日は久々のウェブ・デッサン講座です。

今回のテーマ&サブ・タイトルは、「模写をしよう」です。

何かと多忙な日常生活の中では、人物を描きたくてもモデルをしてくれるヒマな人はなかなか見つかりません。
そこで古今東西の名画の中から、気になる男女を選び出してモデルになっていただこう、と言うわけです。
もちろん興味を引く部分、好きな部分だけを抜き出し、画材も、鉛筆・ペン・水彩と何でもかないません。

以下は、講師Tが若かりし頃の模写デッサンのほんの一部です。参考にしてみて下さい。
(画面内、クリックすると拡大画像が得られます。)

 左:現代米国の画家ワイエス(淡彩)   中:ラファエロのマドンナ像       右:ミケランジェロ

 左:ミケランジェロ、ロシアの画家レーピン(下) 中:ドガ(前縮法)  右:フランドルの画家ルーベンス

 左:スペインの宮廷画家ベラスケス   中:同じくベラスケス  右:マネ、明治時代の日本人画家

 左:フランスの画家ダヴィッド        中:同じくアングル    右:オランダの画家フェルメール

左:ドガ(その他)習作より             右:ミケランジェロの壁画より(前縮法)
 
 左右ともに民族図鑑(世界人類百科)より(ペン)

 左:フランドルの画家ファン・アイク(ペン)   右:ドイツの画家デューラ-(ペン)

 左:雑誌の写真から 身体(上腕)の一部   右:芸用解剖学の図版より男性の骨格と筋肉

模写の対象も画集だけに限らず、写真集・図鑑・雑誌など、気になった画像を模写してみましょう。
それが人物なら、顔の造形の新しい発見や、形態・調子の把握など、勉強になることが多々あります。
印象派のマネやドガを始め、我が国が世界に誇る尾形光琳や伊藤若冲などもまた多くの模写を行いました。
模写には、見ているだけでは得られない大切なキーポイントが数多く埋もれています。

機会を見つけて是非、模写してみて下さい。
(似る・似ないは主旨ではないので、その必要はありません。まずは気楽にトライして下さい。)
日々の僅かな数分・小さな一歩を楽しみましょう。「数打ちゃ当たる」です。
( By 講師T )

2011年9月12日月曜日

デッサン講座ー3

 アトリエ、昨日に続き、今日もお休みです。
今日も素晴らしい入道雲の空でしたが、ここは我慢してアトリエらしくデッサン講座と参ります。

今回は「スケッチを」です。
By 講師T

スケッチとは本画制作前の下絵や覚え等で描かれる簡素な線描画のことです。
階調の方は、最小限に入れれば事足ります。

以下は、参考のための講師T若かりし頃の各種スケッチです。
(画面内クリックすると、拡大画像が得られます) 

 植物スケッチ:左より樹木の枝振り、花と蕾、各種の葉などです。

 目前の日用品:トイレット・ペーパー(ティッシュの代用品)や鉛筆などです。

 こちらも同様に、目前の紙箱やヘッドホン・ジャック、タオルなどです。

ハンマー、釘抜きなどの大工道具(左)と、パレット・ナイフ(右)です。

 コタツ台上にあった卵とパン(左)、友人の革製ショルダー・バッグです。
(独身時代、初めて借りたアパートの小さな部屋が懐かしく思い出されます)

 以上、本格的なデッサン未満とでも言えるような簡素なスケッチの見本でした。
全体の立体化など気にせずに、興味のある部分だけを描くだけでも充分に学べ、楽しめます。

お役に立てれば、幸いです。



今日・夕刻の「中秋の名月」です。
朝夕・涼しくなってきましたが、今晩は8年振りの熱帯夜になりそう、とのことです。

2011年9月7日水曜日

デッサン講座ー2

アトリエ・授業なく、一昨日の初回に続き、早くもウェブ・デッサン講座となってしまいました。

今日もまた「手抜きデッサン」(その2)です。
今回のサブ・タイトルは「線を引こう!」です。
By 講師T

忙しい日々を送っている皆様には是非お勧めの方法です。
デッサンともなると、何だか身構えてしまいそうですが、何のことはない、タダの「落書き」です。
ですが、「チリも積もれば山となる」「千里の道も一歩から」「ローマは一日にして成らず」です。
「絵」の上達にも、音楽やスポーツと同様、「反復練習」が大切です。
日々のわずかな努力が、あなたの「目」と「手」の両者を確実・着実に鍛えてくれます。

多忙な1日の中の、ほんのわずかな時間を利用して「線を引こう!」と言うわけです。
正確には「線で形を描こう!」と言うことで、明暗の階調を省いて輪郭のみを描くことをお勧めします。

デッサンと言うより、ラフ・スケッチやクロッキーと呼ばれる速写的な描画法に類するものです。
とにかく日常の中で、興味を引く形、好きな形、気になる形があれば、線に移し換えてみましょう。
描きたい意欲と、鉛筆と紙と、少しばかりの時間があれば、いつでもそれは可能です。

以下は、講師T若かりし頃の線画の作例です。

左右とも 鉛筆で自らの手(筆者・左利き)を描いたものです。(ごく一部分に調子を施してあります)

 左右とも、インクとペンで描いたものです。(ミスしないように意図的にペンを用いました)

 学生時代の男・女ヌード・デッサンの授業で、本ポーズ決めの前のクロッキーです。

「線で輪郭をなぞる」、タダの落書きのような、その単純な行為の積み重ねが、大きな成果を生みます。
いつしか、あなたの目の中には測量器、あなたの手には意思どおりに動く器用さが身につくことと思います。
またその対象が模写であれば、その形の中の数パーセントは、自らの肥やしとなるでしょう。

はじめから、両手が自由自在に動くピアニストやバイオリニストはいません。
はじめから、ボールやバットやグローブを自在に操る野球選手はいません。
忙しい日常の中にこそ、楽しい練習の時を作り、その成果を楽しみましょう。

「種まけば実る。」まずは1枚。
(お役に立てれば幸いです。)


2011年9月5日月曜日

初のデッサン講座

アトリエ、今日はお休みです。


紀伊半島を中心に大きな被害をもたらした台風12号の影響で、水蒸気にけぶる今日の大山です。

* * *

お休み日、いつも空の紹介なので、今日は趣向を変えてアトリエらしく初のデッサン講座です。
で、今日はその1。そして、その内容は・・・。

「手抜きデッサンのすすめ」 By 講師T

少々・非生産的なタイトルですが、要するに省時間・省エネ・タイプのデッサン技法です。
しっかり描き込むデッサンを・となると、白い紙から始めた場合には、かなりの時間を要します。
そこでこの技法の登場です。それは中間調子の紙を用いて、明暗の階調を描くと言う手法です。
明・中・暗の基本3段階の内、中間調子部を紙自体にお任せして、明部と暗部だけを描き足すのです。

以下は、その作例です。
(講師Tが若かりし頃に描いたデッサン各種です。)

 左:石膏製の足型      右:ご存じ、ダ・ビンチの名作「モナリザ」の両手部分

 左:黒人男性像(雑誌の写真から)   右:男性像(想像で描いたもの)
共に顔面のハイライト部(左は鼻・額・頬など。右は白目、黒目内のキャッチ・ライト、鼻など。

  左はドガ作の油絵からの模写。 右はダ・ビンチの油絵の下絵素描の模写。

と言うわけで、紙の地色を中間調子に見立てて、明部と暗部のみを描くデッサンです。
立体化が容易に出来、しかも階調の整理・見極めにもおおいに役立ちます。
因みに、西洋の古典絵画のほとんどもまた上記の方法で描かれています。


以上、初めてのウェブ講座その1「手抜きデッサンのすすめ」、皆様のお役に立てることを願います。