アトリエ・マイルストンブログ

ラベル 名作美術館 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 名作美術館 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2019年11月18日月曜日

「文化の日」特集:その4

月曜日・晴れ(夜:強風雨)
アトリエお休み日

色づいてきた森の里・青山のイチョウ並木

イチョウの落ち葉の黄色に、温かな橙色のドウダンツツジが綺麗です。

* * *

文化の日:特集その4

「マンガ・アニメの母、浮世絵」


今回も前回に続いてのニコイチ・焼き直し特集です。
よろしければ、以下 お付き合いください。
(^-^)

前回特集で、我が国の美術の最大の特徴であると言っても決して過言ではない「線描芸術」について言及しました。
彼ら、絵師を生業(なりわい)として生きてきた我が国の伝統的職人たちは、
「大和絵」の優雅で柔らかな曲線を駆使して、四季折々の美を表現した世界は華やかさと儚さを兼ね備えていました。
昔日の絵師たちは幼少の頃よりの厳しい修業の日々を経て高度な技術を身に着け、依頼者らの要求に応えてきました。
そんな中、江戸の町人たちの間で「浮世絵」と言う木版画が流行し、複製芸術としてのとして大規模な普及が行われ、
当時、庶民の間で人気だった「歌舞伎」の役者たちの肖像や、東海道の宿場町の図柄が販売され、親しまれました。


しかも、戦後、庶民生活に定着したこの文化は、国境を越えて、遥か海外にまでその影響を広げました。
19世紀、パリ万博が催された際、日本美術の絵画や工芸・浮世絵等が初めて紹介され、大反響を呼びました。
後に世界のあちらこちらで何度も繰り返される、いわゆる「ジャポニズム」の初めてのブームの幕開けです。
宗教画の写実絵画が中心の欧州に於いて、日本美術の装飾的・平面的絵画や浮世絵の明るい世界は驚愕ものでした。
その後、芸術の中心地となったパリをはじめ、日本美術がヨーロッパの国々に多大な刺激や影響を与えたのです。


それらの絵画や版画の発想・構図は、その当時より斬新で奇抜で壮大でドラマチックで、奇想天外なものでした。

前回特集でも登場の俵屋宗達、「国宝・風神雷神図・屏風」(17世紀)

本来は赤鬼・青鬼と同じ色なのですが、宗達が画面の色彩構成を考慮してか、雷神の色を白く表現しています。
雷神に関しては、我が国は古来より緑を「青」と表現しており、上図もその風習に準じているのかもしれません。
二人の神様の表情、ユーモラスでちっとも怖くはありませんが、何だかアニメ風のセリフは聞こえてきそうです。

* * *


 礒田 湖龍斎(江戸中期の浮世絵師)、「秋野美人図(肉筆浮世絵)」


前回の「曲線の魔術師たち」での登場も考えましたが、ここではその抒情性や動きを主眼に、敢えて今回に加えました。
こちらはその装束からして「遊女」と推定されている女性で、その艶やかな動作と白い脚が新鮮な表現となっています。
派手な衣装を着た女性が思わぬ降雨に見舞われ、白い太ももも露わに慌てふためく様子を艶っぽく表現して見事です。
襦袢の緋色(赤)や足元の黒漆塗り下駄とその鼻緒の朱色などを対比させて、この女性の白き肌を強調していて妙味です。
前後の脈絡、それは見る者が自由に勝手に創り上げる醍醐味に溢れ、遠くの雷鳴や女性の声さえも聞こえてきそうです。

* * *

下の迫力満点な絵、これはもう現代日本のアニメと言っても全く違和感のないダイナミック&ドラマチックな壮大さです。


歌川国芳、 「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」

* * *

下は、言わずと知れた我が国が世界に誇る世界絵画史上の天才と目されている葛飾北斎の浮世絵木版画です。


葛飾北斎、富嶽三十六景、神奈川沖浪裏(浮世絵・版画)

そもそもタイトルからして奇抜です。波の裏を描こうなんて、しかも画面いっぱいに垂直にそそり立たせ、
砕け落ちる飛沫は龍や怪物群の手のようで、逆巻きながら三艘の小舟を今にも呑みこんでしまいそうです。
迫力満点な画面につい見落としがちですが、乗員ら全員が船べりにしがみつきながらゲボを吐きそうです。
波飛沫と雪帽子を被った富士、左側大波背後のせり上がる海面、北斎の世界はダイナミックそのものです。
また北斎はそれこそ「北斎漫画」と言う画集を出版。その中でありとあらゆる人物や森羅万象を描きました。
またフランス印象派の作曲家ドビュッシーは、この絵に触発されて交響曲「海(La Mer)」を書いたほどです。

* * *

「写楽の役者絵:その表情のユーモア」


東洲斎写楽、「役者絵」、浮世絵・版画

個別の詳細は省きますが、御覧の通り、現代のアニメに通じる着想やビジュアルです。
しかも北斎や写楽は当時から庶民に人気があり、版画と言う複製文化を生み出しました。
現代で言うマス・コミュニケーション(大衆伝達)や、マス・プロダクション(大量生産)の元祖です。
「複数芸術」と言う意味においても、浮世絵は我が国のマンガ・ルネッサンスへと通ずる礎(いしづえ)です。

* * *

「アニメの先駆者:鉄腕アトム誕生」


欧州に紹介・輸出された「浮世絵」は、当地の画家や芸術家らの「目から鱗」を落とし、多大な刺激を与えました。
一方の我が国は「文明開化」の流れと共に西洋美術の写実性に「目から鱗」を落とし、文化の交換が行われました。
「浮世絵」自体は明治以降 衰退の道を辿りましたが、その大衆的要素は漫画として脈々と受け継がれていきました。
 

大資本の巨大な米国ハリウッド製の大仕掛けの映画には、戦後の我が国では太刀打ちできるものではありませんでした。
SF物やその他の大掛かりな仕掛けの制作は予算的に無理で、その代わりの低賃金の人海戦術のアニメで対抗できました。
アニメの中では、特殊撮影も大掛かりな背景も自由に再現することが可能となり、実写を超えた世界を造りだせました。
アトムを世に送り出した手塚治虫は一躍 時代の寵児となり、国内に数多くの信奉者・追随者らを誕生・輩出させました。


「浮世絵」で培った物語性等が四百年の時を経て、戦後・初の国民的アニメとなって結実、一気に火が点いたのです。




わが国・初の本格的アニメ、ご存じ手塚治虫の名作「鉄腕アトム」、米国名「アストロ・ボーイ」。

筆者も幼少時代、夢中になってTV(その当時はモノクロ放映でした)に釘づけになりました。
「巨人・大鵬・卵焼き」が子供たちの人気の三種の神器の時代、アニメは「鉄腕アトム」と「鉄人28号」でした。
マーブル・チョコのオマケのアトム一家や登場人物たちのシール、勉強部屋中にそれこそベタベタ貼っていました。
「鉄腕アトム」はやがて輸出され、世界一の大国アメリカでは「アストロ・ボーイ」と改名、米国をも席巻しました。
ちなみに
今でこそ、原子力エネルギーの賛否を巡って様々な議論が戦われていますが、戦後すぐの頃には夢のエネルギーと言う認識でした。
その功罪や是非はさて置き、作者・手塚治虫がアトムに託した科学と人類の共存は、現代に於いてなお大きな克服・共存テーマです。

* * *


「百花繚乱、日本アニメ・ルネッサンス」


一度着火した小さな火は大きな炎となって国内に燃え広がり、それはやがて世界中に燃え広がりました。
先人たちの傑作・努力が結実、新たな花となって咲き誇り、世界中にそのマニアたちを生み出しました。
(海外旅行・渡航先のTVチャンネルをひねると、我が国発のアニメが各国で多数放映されていました。)
投稿画像、少々古めの作品ばかりですみません。
<(_ _)>





我が国の代表的なアニメ作家たちの名前は、今では国内では名だたる映画俳優などを超えて、
世界的にも有名な存在となり、各国でサイン会もあって、その人気や名声はうなぎ登りです。
「ハヤオ・ミヤザキ」や「アキラ・トリヤマ」らは、今や「アキラ・クロサワ」を超える存在です。
世界中の沢山の若者たちがそれこそ我が国のアニメ作品で幼少期を築き、ファンとなり増殖中です。
世は正にSNSの時代、放映の終了された旧作でも視聴可能で、多くの国々で鑑賞されています。


足早・手短に我が国アニメの誕生の背景としての伝統や継承を振り返ってみました。

我が国は「自動車」などのハードだけではなく、「アニメや漫画」と言うソフトをも日々 輸出しています。
「文化」とは私たちの日常生活に在り、魅力的なる存在ゆえに欲され、継承・発展するものだと思います。
世界中の人々の記憶や心の中にそれらは生き続け、新しいファンやフォロワーを今日も生み続けています。
それらが人々にとって魅力的な限り、未来永劫に渡ってファンやニーズは生まれ続けていくことでしょう。
我が国の日常が魅力的な限り、我が国の「アニメ」や「漫画」の未来もまた明るいのものとなるでしょう。

そこに進行形の活きた「文化」が生まれ(続け)ていくのです。
(やがては大人になってゆく)子供たちの目に心に、国境を越えて・・・

今回の2回目のニコイチ(二個一)特集、楽しんでいただけたのなら幸いです。

* * * * *

「ミュージック・ギャラリー(その387):アニソン 少々特集」


アニソン、今では一つの大きなジャンルとなり、それは世代や国境を越え、燃え広がっています。
「エヴァンゲリオン」「ワンピース」「けいおん」「ナルト」「一連のジブリ作品」等々、
それこそ数多くのアニメのテーマ・ソングが、数多くのミュージシャンにより産出されました。
そこでその特集を試みたものの、門外漢な筆者、その多くのツッコミ・ビートに閉口して断念。
ちなみに、
( 筆者の欧米系の知人・友人らも美しい旋律は良しとしつつも、そのビートは受容不可との事)

ここは筆者の好みで、YouTube上より久石譲氏の紡いだ癒し系の名曲集をお借りしてきました。
動画、多くの作集がありそのほとんどが長尺物で、今回は比較的身近な尺のもののご紹介です。
ちょっとした気分転換や息抜きの際のBGMとしてお楽しみ下さい。

Relaxing Harp Studio Ghibli Collection リラクシング・ハープ音楽 - スタジオジブリ:宮崎駿 【BGM】




★ スタジオ・ジブリ、チェロ・コレクション、Studio Ghibli Cello Collection


美しい旋律や音色、秋深まりのこの季節にはピッタリですね。
ほかにも色々取り上げたい動画あり、後日追加あるかもしれません。
取りあえず・・・

* * *

「追加版」

オリジナルの井上あすみさんバージョンが最も好きですが、この人のこの動画も・・・
初聴取時、間奏のバイオリンの音と旋律とその所作に、瞬時にノックアウトされました。
以前は動画にブロックが施されていましたが、ここ最近 解除されたようなので・・・
( 筆者注:画面内、線上の「YouTubeで見る」をクリックの上、御覧になって下さい。)

「君をのせて」(作詞:宮崎駿、作曲:久石譲、英語訳詞:Arvin Homa Aya)、「天空の城ラピュタ」主題歌


サラ・オレイン(Sarah Àlainn)、スタジオ・ライブ(2016)


* * *

以下は久石譲氏以外の筆者の好きなアニソンを更に追加しました。

secret base ~君がくれたもの~、/ ZONE (2001)、(10 Years after Ver.)  中文歌詞付


このアニメ、実は見てはいないのですが、この曲は昭和の雰囲気もあってお気に入りです。
7年前、学童クラブの初カラオケ大会で、現・中2女子のIrちゃんが歌ったので知りました。
時間外延長にて我が家に来た時には、いつも動画を再生しながら練習していて覚えました。
一言、名曲。



好きなアニソンと言えば、筆者的にはこれを出さない訳にはいかないでしょう。
当コーナー、3度目の登場です。
アニメ、こちらはDVD購入にて拝見。ストーリーと時系列が少々込入っていて、クラブの学童たちには不評気味でした。
(;^ω^)

「デイ・ドリーム・ビリーバー」、歌:高畑充希(森川ここね役)

PV映像/映画『ひるね姫』主題歌


こちらもまた けだし名曲、名編曲、名歌唱。



「最終追加は、この1曲で!」

前置き 長くなりますが、興味のある方はお付き合い下さい。

純然たるアニソンとは違うのかも知れません。
でも、主題歌に抜擢されるだけのことはある内容の詞の名曲です。
モチーフこそ飛行機雲とロマンチックですが、そのテーマは死です。

投稿コメント欄にもありましたが、「神風特攻隊」の若者たちを想起する方々も多いかも・・・。
遠き昔、南太平洋上にて消息を絶った女性飛行冒険家アメリア・イヤハートを連想する方も・・・。
でも白紙のままで聴いても、それぞれの人生のシチュエーションで聴いても素晴らしい名楽曲です。

以下は筆者の「脱線昔話」です。内容は歌手・荒井由実さんについてです。
恥ずかしながら告白すれば、この歌が出たその当時(筆者20代前~中半)、
筆者と同世代だったがゆえに、ヤッカミやらにて反発ばかりしていました。
美校時代の当時、中央線やその沿線のライブハウスで幾度か遭遇しました。
予備校友だちやバンド仲間の何人かも彼女と同じ学校にも通っていました。
筆者、友人らとバンドを組んで、福生の米軍ハウスで練習をしていました。
ちなみに、故・大瀧詠一氏のスタジオ兼自宅も米軍ハウスで、近所でした。
ある日のこと。仲間の一人がパチンコ屋で景品として獲ってきたと言うシングル盤をステレオでかけました。
広い室内に鳴り響く初めての日本語の歌、その時はみんなで異口同音に彼女のその歌声をけなしたものです。
( そのくせ、黒人フォーク・ブルースのはずれ声には味があると容認。全くのダブル・スタンダードでした。)
でも、みんなで泊まった翌朝のこと、
仲間の一人がそれをターンテーブルに乗せて再度の再現に挑み、その歌が朝の冷たい空気を静かに震わせました。
前日はあんなに反発して、ボロクソでケンモホロロだったのに、その時はもう誰もが無言で聞き入っていました。

早400回近くにもなろうとするこのコーナー、まさか彼女のこの歌が登場するとは夢にも思っていませんでした。
彼女の独特の歌声もさることながら、ロック狂いで邦楽嫌いだった筆者らを黙らせた松任谷正孝の編曲も宝です。
あの日から 早40年。
レコードをかけた友も若くして逝ってしまいました。積年を経て素直になれた自身にも我ながら驚いています。
歳はとってみるものです。
更に私事続きで恐縮ですが、
青春の一時期の苦楽を共にした同年・同級生のその彼、故・関雅人君にこの曲を捧げたいと思います。享年27歳。
高校時代に世界中を2年もかけて旅した彼、最も最後まで生き残るであろうと皆で主張・予言していたのに・・・

荒井 由実(作詞・作曲・歌)、「ひこうき雲」(1973年)、宮崎駿「風立ちぬ」主題歌

後記:上動画(オリジナル音源)、今年年末までの期間限定でしたが、早々に削除されてしまいました。
他の御本人生歌唱や歌うま人のカバー等での差し替えも考えましたが、編曲を含め余人では不可でした。

アニメの方は、宮崎駿氏の美学・人生観の集大成とでも言える個人的作品でした。

上の「デイドリーム」日本語バージョンを歌った故・忌野清志郎もまた同世代。
彼のライブも日比谷の野音で幾度か経験しました。筆者もそう長くはありません。
遅ればせながら今こそこの曲、名歌詞・名作曲・名編曲・名歌唱だと断言します。
この機会を得たことに感謝です。
特集テーマのアニメからは随分と離れてしまいました。ご勘弁。
<(_ _)>

晩秋の日の「アニソン少々」、楽しんでいただけたのなら幸いです。
(*^-^*)

* * * * *

「アトリエ近況報告:MOA美術館・児童画展・厚木、開催さる」

今年も恒例の児童画展が、厚木文化会館で催されました(11/16~17)。
市内小学校(展覧会参加校)の学童たちの力作・秀作・傑作が一堂に会し、圧巻の展示内容でした。
当アトリエや当学童クラブからも多数の学童ら作品が入選し、夏休み以来の再会を果たしました。
筆者、この児童画展が大好きで、小学生たちの生み出した「一期一会」の傑作にいつも感動です。
彼らの瑞々しい感性とその素直な表現力の数々に、毎年大きなパワーと元気を貰い受けています。
「宝物(御本人らにその自覚はありません)」たちに大感謝です。

今回も300点ほどを撮影させていただきましたが、当ブログにて公開できないのが悔やまれます。
いつの日か、飾れることを・・・
_(._.)_


「厚木あゆ祭り・応募絵展にてNKちゃんが最優秀賞・受賞」

また加えて、学童クラブ・メンバーのNKちゃん(小6)が、あゆ祭りの花火の絵で最優秀賞に選ばれました。
全市内の小学校から選ばれた秀作群の中で、その頂点に立ったことは指導した筆者としても嬉しい限りです。
NKちゃん、夏休み中の夏期講習など多忙な時間の中、熱い情熱で迫力満点でリアルな画面を描き出しました。
昨年も優秀賞に輝いているNKちゃんの傑作作品、当ブログにてお見せできないのが重ね重ねにも残念です。
( ;∀;)

その代わりの宝物として、NKちゃんが小2の頃に描いたネコちゃんの絵を紹介します。


その年の大晦日を飾る絵に選んだ作品の1点で、この可愛らしさは今もなお輝き続けています。
ご両親、大切に保管していることと思います。
「NKちゃん、受賞おめでとう!」

* * *

「アトリエお休み日のお知らせ」

今週末11/23(土)の「勤労感謝の日」から25日(月)までの3日間、アトリエはお休みです。
どうぞ、よろしくお願いいたします。

By T講師
朝夕の寒暖差が激しい時節、ご自愛しつつ「小春日和」の暖かなポカポカ陽気を楽しみましょう。


2019年11月11日月曜日

「文化の日」特集:その3

月曜日、未明の雨、明けて 曇り
アトリエお休み日
今日は11月11日(!)。学童たちは口を揃えて「ポッキーの日」だとのこと。

相も変わらずの投稿遅延や時差、ご勘弁下さい。
_(._.)_

今年の初秋、長引いた残暑に覆い隠され、早 晩秋になっていることに自覚も無く、気がつけば寒さ感じる朝夕となっていました。
里や野の紅葉も例年になく遅く、最近になって何とか色づいてきました。

上古沢(左側)・森の里4丁目間のケヤキ並木

過去撮影の写真ながら、紅葉の進行具合はこんな感じです。

* * *

「ブログ冒頭のお断り」

超・久し振りの美術特集、図らずも長編となり、ゆえに長時間を要する特集となってしまいました。
筆者P.C内の紛失トラブル回避のため、未完・未推敲ながら、現時点にてアップさせていただきます。
失礼ながら、未記述部分などは、投稿後に加筆を施しつつ 随時完成に近づけてゆくつもりでいます。
ご了承・ご勘弁をお願いします。
_(._.)_

* * *

「文化の日」(大?)特集その3


「文化の日」と当ブログの過去の「名作美術館」とを合体させ、今回のニコイチ(二個一)大特集とさせていただきました。
昨今の音楽ブログ状態に、本来の美術アトリエ・ブログとしての面目や体裁や再認識をも託して以下を投稿いたしました。
しばしの間、お付き合いいただければ幸いです。

「名作美術館(その232):焼き直し総集編」

「日本美術:描線・曲線の魔術師たち」


以前、当ブログや「T講師コーナー」内の「名作美術館」にて特集、ご紹介した際の作品群からの選りすぐりです。
それぞれの時代を代表する数多の絵師たち、今回のテーマは我が国独特の線描表現にその焦点を当ててみました。

御承知のように我が国の美術の発祥は、大陸は中国をその根幹・発端としており、その後独特の発展を遂げました。
大陸由来の画数の多い漢字文化から、やがて我が国独特の画数の少ない曲線中心の平仮名が生まれ、定着しました。

以下は筆者の私感ですが・・・、
その影響下にて、従来の大陸の直接的影響を超えて、画風や主題の趣旨を異にする柔らかな大和絵が生まれました。
逆に言えば、もしも平仮名の出現がなかったのなら「大和絵」の柔らかな絵画もまた誕生しなかったかもしれません。
加えて我が国の風土全般に大いなる影響を与え続けている四季の存在もまた、重要な画題として発展してきました。
今回はそんな背景を基軸に自らの画風を確立し、その時々の権力者たちに重用された絵師たちの作品を紹介します。
とは言え、美術史的な観点は専門書や史家らに任せ、画を描く(過去形?)者としての視点から進めていくつもりです。
「いざ!」



下はそんな絵師と書家二人の生み出した我が国を代表する最も優れた美術品で、正に国家や人類の宝です。
今で言うところのコラボレーション(共同制作)の元祖版といったところでしょうか。分業ながら完璧です。
その速度感のある筆致の生み出すたおやかな形象は頂点とも言える洗練された世界で、その品格は絶品です。

書:本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)、装飾:俵屋宗達(たわらやそうたつ)


装飾的(平面的)で、かつ簡素でありながらも極めてリアルで、それらの形象が織りなす時空は品格に満ちています。
書が読めないのが残念ですが(筆者、高校時代、古文や漢文が嫌いでした)、それらの美は充分に感動・堪能できます。
英語やフランス語等の音楽、何を言っているのか不明でも、楽器の一つとして聴けて充分に楽しめることと共通です。)


俵谷宗達・絵、本阿弥光悦・書、金銀泥四季草花下絵、古今集和歌巻、重要文化財、畑山記念館所蔵

琳派の開祖とも称され目される天才絵師・俵谷宗達の梅、その洗練された抒情空間に匹敵する世界は存在しません。
この梅の花々、何と木版のスタンプが使用されていて、その絵具の滲みやかすれが味わい深い空間を形成しています。
絵も書も素晴らしく、重文なんて権威ぶらないで、即刻 国宝指定にしていただきたい程の我が国を代表する至宝です。

以下も薄墨による垂らし込みや滲みを利用しつつ、軽快な筆致にて花々の軽やかさや繊細さ、その香しさまで表現しています。





シルエットの花が桔梗やつゆ草や他なのか筆者には判断不能ながら、その背景の茎や葉の線描の軽妙な洒脱さに感嘆します。

かつてアトリエ生徒さんの一人が、筆者所有のこれらの図版の画集を眺めたあと、
「フーン、何だか京都や奈良あたりの観光客向けの銘菓の包装紙みたいですね。」
そう言われれば確かにそんなイメージかもしれません。化粧箱の裏側には品質表示法のラベルが隅に貼られているような・・・。
そんな印象はあながち間違っているとも言えず、その形象や雰囲気が持つ洒脱さが、銘菓なりの品格を上げているのは事実です。
背景の簡潔清楚な「装飾画」も、重ねられた軽やかな「書」も、その品格は今世紀の今日でさえ近寄り難い芳醇な夢幻時空です。

「凄い!!!」の一言!
このセンスの見事さ・完璧さ、我が国の先人たち、(超!)畏るべし!!!


「俵屋宗達の風神雷神図」


下は我が国の古典美術を代表する「琳派(りんぱ)」の祖、俵屋宗達の超名作(国宝)です。

 俵屋宗達「国宝・風神雷神図・屏風」(17世紀前半)、建仁寺蔵、京都博物館に寄託

大画面の金箔地に大胆に描かれた品格ある風神雷神の姿がユーモラスで、その周囲の袋やタスキ等の曲線も絶品です。
筆者も金箔の上に絵を描いた経験が幾度かあり、西洋古典絵画の刻印テンペラ画、日本画模写の際にも使用しました。
表面が極めて滑らかな金箔の上では、おつゆ状になった絵具はその表面ではじかれて、しっかりとは線描できません。
平滑な金箔の上でしっかりと固着させるためには、濃度や密度の濃い膠が必須で、その結果 柔らかな線描が困難です。
しかも毛筆の線描にやり直しなど不可能で、襖絵や障壁画のような大画面ではなおさらで、その大胆さはもはや奇跡的です。
古典時代の絵師らは幼年の頃より丁稚奉公の弟子として入門、長年の修業を経てはじめて、そのような技巧を体得するのです。
それゆえに、現代の我々では到底 成し得ない神がかり的・超人的「線描の魔術師」たちが生まれ、日本美術の歴史を飾るのです。


「尾形光琳の(国宝)紅白梅図屏風」

 尾形光琳、「(国宝)紅白梅図」、MOA美術館
二曲一双、紙本金地着色、各156x172.2cm、18世紀(江戸時代)


金箔上に初春の寒空に屹立する鋭い梅の枝を描いて絶品です。正に全人類的な宝と言っても決して過言ではありません。
画面中央を占有する川の流れの銀箔が経年変化で腐食し、剥落しているのは残念ですが、それでもなお美しい曲線です。
幹や枝の織りなす速度感・リズム感溢れる線描。華麗に流麗に円弧を描く流水の大小の曲線、もはや絶対美の極致です。
我が国の伝統的な古典美術、その中でも特に傑出している本作品は世界中の美術家らに多大な影響を与え続けています。

武家が重宝した「狩野派」が男性的な力強さなら、「琳派」は平仮名のような女性的な柔らかい美しさに満ちています。
また琳派の優美な意匠は、絵画を超えて多種多様な工芸品や陶器等にも数多く用いられ、庶民の日常を豊かに彩ました。
「光琳梅」と呼ばれる梅の花を簡潔にシンボライズした可愛らしいデザインは広く親しまれ、永遠不滅なデザインです。

紅白の「光琳梅」。その素は俵屋宗達の木版スタンプです

加えてその美は遠く欧州にも飛び火、象徴主義の画家たちや、アール・デコ等の工芸芸術にも大きな影響を与えました。
現在、世界的に有名なエミール・ガレやドーム兄弟(ガラス工芸)などの高価な装飾品などにもその影響が節々に伺えます。

「長谷川等伯の(国宝)秋草図屏風絵二題」


下は安土桃山時代から江戸初期にかけて活躍した能登の国出身の立身出世の大絵師の作品です。

 国宝 「松に秋草図屏風」文禄元年(1592年頃)、京都・智積院(ちしゃくいん、東山区)


  国宝「楓図屏風」、文禄元年(1592年)、京都・智積院
共に文禄元年(安土桃山時代、1592年頃)

絢爛豪華にして華麗、但しそんな中にも花々の漲る生命の輝きと、その衰退も同時に感じられて、けだし玄妙です。

* * *

「江戸琳派、酒井抱一の世界」


次は「江戸琳派」の代表格・酒井抱一(ほういつ)の代表作にして傑作の登場です。
こちらもまた言葉の解説など一切不要なほどの洗練された圧倒的な曲線が見事です。

「秋草図屏風」(左隻)

当作品はこれまでのきらびやかな金箔に替わって、夜世界を表現する銀箔がその背景として用いられています。
強風に煽られる草々はまた生命の儚さをも表しているようです。来たるべき冬の足音の第一歩かもしれません。



シダの美しいシルエットと美しい円弧を描く草葉や茎、野暮臭い現代にはもはや失われた情緒と品格です。



  両作品とも酒井抱一(江戸琳派の代表的絵師)作の「秋草図屏風(いずれも部分図)」

* * *

上2点は 「萩など」、出典元に記述なく作者不明です。

四季それぞれの気象の変化に恵まれた我が国、そのバリエーション豊かな美しい変化が風物や暮らしに様々な影響を与え、

 * * *


 柴田是真(ゼシン)「秋月夜」(和室しつらえ工芸品、引き出しの表面絵)

地平線近くの大きな満月の中には、小さな秋の虫のシルエットも描き込まれています。
画面を構成する繊細で大胆な草々の曲線は魔術師ならではの絶妙なお宝ストロークです。
筆者注:画面中央部の木枠などは、筆者がパソコン上で加工を施し、省略してあります。


 菱田春草、「武蔵野」、明治時代(1899年)、富山近代美術館

「線描の魔術師たち」、そこに到達した絵師たちを育んだのは、厳しい修練と周囲の美しい自然だったのかもしれません。
そのたおやかな、その見事な、その華麗な、その円やかな描線は自然の摂理の曲線を際立たせ、自らの技巧を語りません。
されどその技巧は雄弁で、見る者に数多の感動や癒しや快感を与え、四季や自然界の美しさを私たちに再認識させてくれます。
この国の偉大なる先人たちは遥か遠くへと行ってしまいましたが、その精神や感性は長しえに受け継いでいきたいものです。

* * * * *

「恥ずかしながらの蛇足:筆者の模写習作」

上述の絵師たちの線描魔術ぶりに少しでも近づきたく、下描きもせずにいきなり描いてみました。
眺めるのと、描くのとでは大違いです。その洗練された形象や筆運び、一朝一夕には到底 真似できるものではありません。

 筆者による古典絵画の下描き無しの即興自由模写(和紙にアクリル絵の具、2016年)

筆者によるアレンジ模写「21世紀の風人・雷人図」(和紙に金色スプレー、アクリル絵の具、2016年)

宗達の「風神雷神図」を基に地球を加え、現代風にアレンジを施しました(但し未完)。そのタイトルも「風人・雷人」。
ジンは神ではなく人として改名。二人の足元は雲ではなく排出ガスで、地球温暖化に消極的な大陸の二大首領としました。
地球左側洋上にフィリピンや斑点の南沙諸島等を描き込み、頂点・中央部には富士山の白いシルエットを加える予定です。
その完成、一体いつになることやら・・・。我ながら呆れかえっています(エッ、またもや年越しするつもりでは!?)。
(;^ω^)

* * * * *

「ミュージック・ギャラリー(その386):日本文化特集」


今回の「文化の日」特集に関連した動画をネット上よりお借りしました。
外国の方の目を通して捉えられた我が国の自然や風物、私たち自身にもまた新鮮に映ってしまいます。

そもそも写真やムービー、レンズを用いて光の現象を写し取っているので、誰が撮っても似たようなものが・・・、
と思っている人も多いようですが、ところがそうではなく、写す側の心や感性や視点が映像に同時に映し込まれます。

我が国の何気ない平凡な日常の光景や風物、そこに外国人観光客らの視点では新鮮な驚きで映り、編集されました。
そこに投影された彼ら外国人らの視点は興味深く、インパクトある映像となっています。
我が国の、いつもは無意識に見過ごしている「文化」、ご覧ください。

Japan: A Journey Between Tradition And Modernity

INCREDIBLE BEAUTY OF JAPAN/2015


WHERE TRADITION MEETS THE FUTURE

WHERE TRADITION MEETS THE FUTURE

* * * * *

「天皇陛下、御即位パレード(御列の儀)、開催さる」

雲一つない素晴らしい秋の日本晴れの下、
昨日・日曜日(11/10)、台風被害を鑑み順延になっていた都内パレードが、大勢の国民の歓迎・祝意の中、めでたく執り行われました。
また前日に催された御即位を祝う国民祭典も感動的で、特に子役だったあの芦田愛菜ちゃんの和服姿とその言葉が素晴らしいものでした。
( 感動するところ、「そっちかい!?」と言うアイドル・グループ・ファンらの不満の声が聞こえてきそうですが、筆者的にはそうです。)
目を閉じて聞いていると、とても中学生(15歳)とは思えない品格と知性があった(筆者も全く同感)と各方面にて大絶賛されていました。
難問多く深く黒き暗雲立ち込める中、良き時代になることを祈るばかりです。

* * *

取りあえずアップさせていただきました。
後ほど、完成させんがため、努力します。
どうぞよろしくお願いいたします。

By T講師
(;^ω^)

超久々の原点回帰、お楽しみいただけたのなら幸いです。

「お知らせ」
P.S. 前回のブログに後日 追加の動画をお借りしてアップしました。
地球の裏側で咲く沖縄音楽、よろしければ、ご覧になってください。



「後日追記:次回予告」

まだ確定ではありませんが、「文化の日」特集:その4を目論んでいます。
先日の「文化の日」から随分と遠くなりますが、今回で記し足りなかった事あり、その続編と言うことで・・・。
でも気が変わって得意の「有言不実行」に終わるかもしれませんが、取りあえず現時点での予定と言うことです。


2019年5月27日月曜日

さらば春、快晴・快風の日々

月曜日・晴れ・暑し
アトリエは お休み日

ベスト・シーズン「さつき晴れ」の何気ない日常の光景を過去撮影分にてお届けします。
令和の新鮮写真ではないので「意味な~い!」かもですが、御覧いただければ幸いです。

画像・再登場の

「出張デイリー・ギャラリー」


「大山・丹沢山系 三題」

「つつじ」神奈川県立七沢森林公園脇よりの眺望

「雲一つない日本晴れと新緑」アトリエ近所、上古沢地区内よりの眺望

「丹沢に沸き立つ雲」七沢地区よりの眺望(左端が大山、白い建物は七沢病院)

我が町・森の里・二題

厚木西高校前のイチョウ並木

森の里センター、遊歩道脇

アトリエ近所・二題

つつじの丘公園(旧・上古沢緑地)
つつじの丘公園(旧・上古沢緑地)

今年は例年にも増して(昨年同様の)気温の高い日々続きでした。
いつも定点観測・撮影をするアトリエ近所のポピー植栽地、今年は未だポチポチです。
週末より、関東地方もいよいよの梅雨入りが予想されています。
筆者も大好きな「春」五月晴れ・新緑涼風とも しばしのお別れ。
季節は移ろい早六月(半年!)、梅雨の季節へと突入。
僅かに残された「涼風・快風」を存分に満喫しましょう。

* * *

新コーナー
出張名作美術館・総集編「 ミニ・ギャラリー(その1):春景色 」


以前、当ブログにてレギュラーだったコーナーを過去より引っ張り出して、それらの別アレンジの総集編やミニ版をお届けします。
少しは薄れていた美術教室のブログらしい装いを取り戻せそうです。

その記念すべき第一回目はオープンに相応しく「春」らしい(筆者の独断見立て)絵画を選び出しました。
これまでのような画家個人別の特集ではなく、そのテーマに沿って過去のアップ映像より選びました。
よろしければ、名画の中の美しい「春景色」ご鑑賞下さい。新コーナーでは詳細データ等は未掲載とします。
制作意図や年代等の知識探訪はさておき、ひたすら画面(視覚情報)のみからの情緒を味わいましょう。

グスタフ・クリムト 二題



象徴主義絵画のエロティックな画面で名を馳せたウィ―ン派の巨匠の別の一面です。
正方形画面に構図法に力点を入れ、点描にて自然の造形を軽やかに表現しています。



クロード・モネ 二題



点描のご本家・印象派の巨匠の描いた風景の中の幸せそうな人物たち。
彼の目を代弁したその点描、透明な光だけではなく、風の爽やかさや香りをも感じられます。
にもかかわらず、
同時に一抹の悲しさをも感じるのは、後のモネ夫婦の悲劇を知っているからでしょうか?


ピエール・ボナールの或る1日
(筆者注:画題ではありません。)

 

木漏れ日をバックに、フランスパンとチーズとワインとその他諸々・・・。
↑筆者の好物のささやかなる思い入れが、テーブル上をそう見せています。
しっかりと描かれていないからこそ、見る者の想像力を大いに刺激します。
筆者が特に好きな部分は、テーブルクロス裏に微かに感じる光の拡散です。

当ブログでも度々言及の筆者憧れの「庭食事」風景。
やはり今年のGWでも復活せずじまいでしたが、大量の枝剪定と芝刈りだけは行えました。
鬼が早々と高笑う来年こそは・・・。
(;^ω^)



近代西洋絵画の黎明期・根幹を成す3者の画家の作品を「春景色」として取り上げました。
その巨匠三者に共通するのは以外にも我が国「日本」。
浮世絵や精緻な明治工芸等、19世紀のヨーロッパ美術に多大な影響を与えた我が国の美術、
教条的な宗教画や歴史画の茶褐色に慣れた目に、日本美術は正に「目から鱗」だったとの事。
その伝統の一部は失われず、今や「マンガ」や「アニメ」となって世界を熱狂させています。
その本家本元の伝統的日本画(宗達や光琳など)も、再び息を吹き返すことを願っています。

* * *

「出張ミュージック・ギャラリー(その278):青春歌」


「新旧同曲・三題」

今回の当コーナーは春先より特集していた「春」の歌の最終回と言うことで、「青春歌」にしました。
今ではもう遥か遠く昔(!)のこと、筆者若かりし頃の青春時代に流行った名曲を再び取り上げました。
半世紀も前の多感だった中学生の頃、彼らの存在に反発しながらも結局は魅入られてしまいました。
当時、世は正に英国発のビートルズ時代で、ティーン・エイジャーの女子たちを虜にしていました。
王座のビートルズを筆頭にライバルのローリング・ストーンズらに対抗すべく米国が仕掛けました。
何万人ものオーディションを勝ち抜いて選抜された業界企画製造のアイドルグループが彼らでした。
友人間にもビートルズ派・ストーンズ派(筆者)・モンキーズ派があり、彼らは圧倒的に女子に人気、
前者英国組とは違うポップ・サウンドに反発を感じつつ、内心では大好きと言う複雑な心境でした。
と言う訳で、筆者にとっては思い入れ強く、思い出深い曲です。

その名曲、古今東西の圧倒的数量の数多のヒット曲群を乗り越えて、様々な人たちに歌い継がれました。
まずはそのオリジナルから聴いて下さい。以前に紹介の秀逸動画が削除されたので、別バージョンです。

「デイドリーム・ビリーバー」オリジナル、ザ・モンキーズ(1967年)
The Monkees (Oliginal), " Daydream Believer "

冒頭部のデイビー・ジョーンズの嘆きセリフが一部ないのが不満ですが、訳詞つきで選ばせていただきました。
加えて動画の静止写真にも、中心人物ボーカルの故・デイビー・ジョーンズの可愛い姿がないのも残念ですが。
他にも彼らのTV番組のタイトル文字にもなったギターの形をしたレタリング版もありましたが、詞なしにて断念。
筆者中学時代、そのデザイン文字やビートルズのドラムに描かれていた文字を何百回もノート等に描いていました。
言わずもがな、そのおかげもその一つで、親不孝者の筆者の成績は急降下・右肩下がりに終始してしまいました。
でもそのおかげもあって、クラスや学年を超えた多くの女の子たちから沢山のリクエストを貰い、喜ばれました。
「あいつは絵や文字が上手い」と言う噂が新たな噂を呼び、空手部の部員募集ポスターまで描かされ、つい入部も。
はたまたそのおかげもあって、学校代表としてアメリカン・スクールとの交流会にも参加することが出来ました。
今となってはその当時のオキナワでしか味わえない色々な思いや経験をして、とても楽しい思い出となりました。
アウトロでフェイドアウトへと向かう際にバックで聞こえて出でて来るオーボエ?クラリネット?の音色と旋律が、
半世紀を経た今も老体筆者の胸を未だにキュンキュンと高鳴らせてくれます。

四名のモンキーズ・メンバーの内、二人(デイビー・ジョーンズとピーター・トーク)が逝去してしまいました。
冥福をお祈りいたします。


筆者の脱線思い出話はさておき、
モンキーズのヒットより22年後、日本語の詞を引っげて「デイドリーム」が登場。新たな息吹が生まれました。
当コーナー初登場です。

「デイドリーム・ビリーバー」(モンキーズのカバー)、故・忌野清志郎、ザ・タイマーズ名義(1989年)
The Timers (  Cover version,with Japanese Lyric )

ご存じセブン・イレブンのCMですっかりお馴染みとなった故・忌野清志郎氏によるカバー・バージョンです。
ここ久しく聞かない言葉ですが(死語状態?)、彼独特のペーソス(哀愁)感あふれる歌声が胸に沁みわたります。
日本語意訳詞も素晴らしく、英語詞の”And I~"を「そんで」と口語にアレンジしている部分も冴えています。
バック演奏で、オブリガート風に流れる副旋律のアコーディオン(?)やマンドリンも泣かせてくれて妙味です。
また聞きづらいながら、間奏の清志郎氏のスキャット(シャウト?)も失恋の痛みを表していて胸に迫ります。
「僕の好きな先生」「パパの歌」等、筆者とは同年齢ミュージシャンの心情世界や活躍が頼もしかったです。
若すぎる早逝、重ね重ねも残念で、その冥福をお祈りいたします。


そして一昨年、アニメ映画の主題曲となって、オリジナルとはまた別の魅力を伴って再誕生を果たしました。
秀逸アレンジの演奏に乗せて歌う高畑充希の圧倒的表現力が素晴らしく、間奏時のスキャットも鳥肌ものです。
そんな稀有なシンガーに地球の裏側にて出会い歌われ継がれ、「デイドリーム」と言う曲も幸せだと思います。
30年前、忌野清志郎氏が日本語で取り上げなかったら存在しなかった名曲です。
ここ近年の筆者の最もお気に入りのJポップ・ナンバー、当コーナー再登場です。

「デイドリーム・ビリーバー」(タイマーズ歌詞のカバー)、高畑充希(2017年)
Mitsuki Takahata ( Cover version on The Timers Lyrics )

「オリジナル(原曲)を超えるカバーなし」と巷ではよく言われることですが、この曲はその例外だと思います。
とは言え過去にも初期のビートルズやR・ストーンズ等が、原曲とは別の魅力で次元を引き上げたりしています。
確かにオリジナルにはオリジナルならではの魅力も頑としてありますが、他の手や尊敬や感性が加わることで、
更にいっそうの魅力を解き放つ時も稀にあり、このカバーはその成功例の典型ではないかと筆者は思っています。
原曲作者、原曲歌手、触発されリスペクトしたカバー歌手、その歌が更に新たな歌い手を触発してゆきます。
余談ながらアニメの中の夜景各シーンが魅力的です。まだアニメの方は見ていませんが、近日中に購入予定。

中学時代のオリジナルに始まり、上のカバー2曲にも出会えたことは、筆者にとってはとても大きな喜びです。
今回の3曲以外にもアン・マレー版や、前回沖縄ソングの石嶺聡子版なども秀逸です。機会あればご聴取を。

「デイドリーム」," Daydream Believer "
この歌もまた古今東西・時代・国境を越えて、広く末永く人々に愛され続けていくことでしょう。
(*^-^*)

* * *


アトリエ周辺では恒例の「田植え」が始まりました。
春と夏を分かつ「梅雨入り」ももうすぐです。
「水の国」の我が国にとってはまた大切な恵みの季節ですが、同時についつい邪険に思いがちな季節でもあります。
そのうっとおしい雨や曇天がちな日には、アジサイたちの清楚な色合いと、沖縄サンシンの音色が良く似合います。
(筆者自身にも毎年 言い聞かせているのですが)梅雨時の情緒を能動的に楽しみ、幽玄な雰囲気を観賞しましょう。



お茶濁しの新コーナーがまたまた増えましたが、お楽しみいただけたのなら幸いです。

By T講師



P.S.「追伸」
ここ最近、以前にもまして当ブログへの訪問回数がぐんと増えました(特に米国からが多数です)。
世界各地のビュワー様たちが特に訪れているのが「京都橘高校吹奏楽部」を取り上げたページです。
どのような経路を辿って当ブログへと訪問されるのかは不明ですが、何はともあれ 嬉しい現象です。
沢山の元気を頂戴した筆者としても、彼女たちの今後の活躍も大いに楽しみでもあり期待しています。
あらためて「感謝」

(#^.^#)
_(._.)_