アトリエ・マイルストンブログ

2016年5月31日火曜日

Chちゃんの初油絵、祝完成

5月末日・火曜日・曇り のち 時々晴れ

前回、「フランス人形」を仕上げたKKさん、今日から新作に取りかかります。


KKさんの新作油絵は「葉ボタン」で、F10号のキャンバス2枚を横に繫げて描き出しました。
その構図は大胆で、左に片寄った葉ボタンの部分拡大クローズアップです(参考写真はKKさん撮影)。
今日はその構図取りと下地色(階調)の構成を行い、画面からは、もう既に迫力がみなぎっています。
次回からの本格的描画が楽しみです。

* * *

Chちゃん(小5)、今日は学童クラブ時代から製作中の初油絵の仕上げに取りかかりました。


前回までの様子

Chちゃんの初油絵「草原の柴犬」が、本日めでたく完成しました。

今日はワンちゃんの顔や体周りの逆光の毛に白色を足し、毛色にも明るい茶色を加えました。
また背景中央部周辺(ワンちゃん周り)にも明るい黄緑色をボカシを用いて加筆。
その効果が見事に現れて、ワンちゃんの活き活きとした表情と明るい光が画面に出現しました。
ポイントを決めることの大切さが実感できる1日となり、素晴らしい初油絵の誕生に繋がりました。

年号と習いたての英字筆記体サインも入れられ、Chちゃんルンルンで自宅へと持ち帰りました。
幼なじみで(元)クラブ仲間のNtちゃんと共に始めた初油絵(共に犬君)、ここにめでたく完成。
おめでとう。

2016年5月30日月曜日

明治の洋画-7、百武兼行

月曜日・雨
アトリエ定休日

「名作美術館(その174):明治の洋画(その7):百武兼行の洋行油絵」

 「マンドリンを持つ少女」            「タンバリンを持つ女」

「母と子」

百武 兼行(ひゃくたけ かねゆき)
1842年(天保13年)~1884年(明治17年)43歳にて逝去

百武兼行は優秀な外交官で職業画家ではありませんが、洋画黎明期における重要な画家の一人です。
祖先は戦国武将で父は佐賀藩藩士、明治4年岩倉具視使節団に随行し、渡欧。滞在中に洋画を学ぶ。
33歳にして洋画を学んだ百武は、その1年後にはローヤル・アカデミー・オブ・アーツ展で入選を果たす。
英国で最初にオックスフォード大学に留学した日本人となり、その後フランスにも留学、更に洋画を研鑽。
その後3度目の渡欧(イタリア、ローマ)を果たし、その間に日本人では初めてと言う「臥裸婦」を描いた。

維新浅き日に三度にも渡る洋行で、百武は明暗法や遠近法等の西洋絵画の真髄を習得したと言えます。
浮世絵のような平面的絵画やチョンマゲに草履履きの世に育った人間の基礎能力の高さに感嘆します。
掲載画像はいずれも画質に難があり、その細部まで再現不可ですが、素朴な温かい眼差しを感じます。
特に「母と子」など、単なる写実を超えたナイーブ・アートやシュール的な表現派風な世界が印象的です。

* * *

「ミュージック・ギャラリー(その205)」

今日は雨、五月雨にけぶる車窓からの景色がこの懐かしい曲を思い起こさせてくれました。
筆者若かりし頃に一世を風靡したフォーク・ミュージック・ブームの中の隠れた名曲の一つです。
歌詞の感じからも、明治から大正・昭和初期までの情緒を彷彿とさせる世界で、今も新鮮です。

一時、音楽活動から遠ざかっていた歌い手ですが、2009年より活動再開。
ネット上にオリジナル曲の投稿は無く、今回は復活後のライブの様子です。

「通りゃんせ」1972年(沖縄祖国復帰の年)、歌;佐藤公彦(愛称:ケメ)

まるで往年のモノクロの邦画を見ているような上質な和風情緒、良い雰囲気ですね。
まるで可愛い女の子のようだった往年のケメさん。やさしそうな男性になりましたね。
当時も仲間内で良く歌いましたが、「おさんどん~ん」のシンコぺーションが独特で、聞かせ所でした。

「脱線 余談 追記」

ちなみにケメが弾いているギターはマーティンのO-45、サイドマンの方はギブソンのダブ、共に名器です。
高校時代に周囲のみんなが憧れていた楽器メーカ―の代表ですが、その当時のものが今ではビンテージ。
時を経て熟成され、新製品ではけっして出せない味わい深くも懐深い音色やルックスが、素晴らしいですね。
人もまた、そう在りたいもの。
ポンコツや中古ではなく・・・。
「ヤバ・・・ (-_-;)」 

By 講師T

2016年5月29日日曜日

MSさん、AYさん、共に快調

日曜日・晴れ

MSさん、製作中の油絵の続きを行いました。


今日は男の背中ジャケットの細部を描き込みました。月に座る男のシャツや顔・手・赤いズボンなどです。
また両手の調子や細部も描き、加えてカバンの表面の茶褐色も加筆し、細部がとても表情豊かになりました。
次回、カバン周囲の取っ手やキャスターなど、更に細かい箇所の仕上げを行います。
ひょっとすると仕上がるかも知れませんね。
楽しみです。

* * *

AYさん、製作中のアクリル画の続きを行いました。


AYさんのアクリル画「モクレン」、今日はその花びらの調子を丁寧に集中的に描き込みました。
アップ画像では表せませんが、その白と薄桃色の繊細なボカシ具合が香しい雰囲気を醸し出しています。
それぞれの花冠の軽やかな立体感や量感も、更に良い感じになりました。
次回の続きも大いに楽しみです。

2016年5月28日土曜日

キッズたち力作、続々完成

土曜日・曇り

前回、水彩で玉ねぎを描いたYYちゃん(小6)、今日はデッサンを行いました。


YYちゃんの今日のモチーフはカボチャで、御覧のように見事に描き上げました。
今回は各部位の固有色での階調の違いを描き分けることも大きな狙いの一つでした。
YYちゃん、その違いをしっかり描き分け、加えて量感豊かなデッサンを完成させました。

 * * *

M姉弟のKaMちゃん(小4)、今日は一人で製作中の板絵の仕上げを行いました。


KaMちゃんのプレート絵「家族」が、本日めでたく完成しました。
愛犬モカちゃんの可愛らしい仕草を中心に、一家の微笑ましい姿が描かれました。
KaMちゃんが製作当初から決めていた背景の金地も絵の暖かさに一役買っています。

プレートの裏面は一家名がアルファベットで描かれ、その周囲を常緑の若葉で飾りました。
両面共に縁起の良いめでたい板絵の誕生です。おめでとう。

但し指導のT講師、完成後の板の表面に保護用・光沢ニスを塗るのをうっかり忘れてしまいました。
KaMちゃん、ニス塗りで仕上げるので、次回もう一度持参して下さいね。

* * *

SH君兄妹一行がやって来ました。


前回、精悍な狼の姿を描いたSH君(小5)、今日はパステルも利用して「クロサイ」を描き上げました。
形体把握に進歩著しいSH君、今回のクロサイもまた特徴を良く捉えた素晴らしい作品となりました。

* * *


前回、ポットのデッサンを描いたKMちゃん(小4)、今日は水彩で果物を描きました。
KMちゃんが選んだリンゴと洋ナシ、見事に仕上がりました。
立体的な写生では必要な下地色から始め、ボカシを活用してそれぞれの固有色を見事に再現しました。
最後に入れた白い絵具での表面テカリも良い感じです。

* * *

SH君の妹Yちゃん(年長さん)も、描画を楽しみました。


Yちゃん、絵具が使いたいとのことで、図鑑んから動物たちを選び、見事に描き上げました。
中央のパンダ2頭に、左のリスちゃん、右のウサギさんと、しっかり形を取り色を乗せました。
鉛筆で取った輪郭線をはみ出すこともなく、丁寧に可愛く仕上げました。

素晴らしい絵を仕上げたYちゃん、エンジン全開。御覧のような色彩遊びをパステルで楽しみました。
周囲を黒で締めるのは、なかなかの発想です。
その後、パレットの余った絵具を混ぜて、手形も2枚作り、その記念に日付やサインも施しました。

絵も無事完成。ご機嫌H兄妹、ミニ・ギター合奏を楽しみました。

* * *

今日の美しい夕焼け(森の里上空)
アトリエ冥利に尽きる1日でした。

2016年5月27日金曜日

IKさんの銅版画アレンジ摺り

金曜日・未明の雨 のち 曇り

KIさん、銅版画「アダムとイブ」のアレンジ摺りを行いました。


KIさん、今日の試みは「1版多色摺り」です。
ノーマルに墨色インクを乗せて拭き取った後、その上から透明な青いインクをローラーで乗せました。
インクと透明メディウムはリトグラフ用で、濃淡2種のインクを作り、上部と下部に分けて摺りました。
ローラー運びの具合で多少インク・ムラが生じましたが、下部のヒマワリ等の見え具合も良い感じです。
次回も色々な工夫をして、様々なアレンジやバリエーション摺りを行う予定です。
楽しみです。



「オバマ大統領、ヒロシマ訪問」

様々な考え・想いがあるにせよ、オバマ氏だからこその歴史的訪問・慰霊。
過去・現在・未来、止めどなき時間軸に乗って人類は何処へと進み行くのか・・・。
あの惨劇から71年・・・。

2016年5月26日木曜日

Ntちゃんの初油絵、祝完成

木曜日・晴れ
気温高し、但し快風。

(森林公園・虹の架け橋下より大山を望む)
周辺では、遅咲きのツツジが満開時を迎えました。

* * *

Ntちゃん(小5)、学童クラブ時代より製作していた初油絵、いよいよの仕上げに取りかかりました。

最終見直し・思案中のNtちゃん。

Ntちゃんの初油絵「秋田犬の子犬」が、本日めでたく完成しました。
今日はワンちゃんのポイントを加筆。瞳のキャッチライトや鼻のてかり、更に輪郭部の逆光を足しました。
その効果もあって、活き活きとした可愛らしい2匹のワンちゃんが誕生しました。
周囲の小さな花々も可憐で、生命感・幸福感豊かな油絵となりました。
初油絵、完成おめでとう。

* * *

RiSちゃん(小4)、前回から始めた植物画を進めました。

RiSちゃん、今日は前回の構図取り・線描を仕上げ、彩色を開始。
今回のような写実的な植物画を描くためには必至となる下地色から始めました。
葉の薄緑、サクランボの実のピンク色、それに枝や茎の褐色の3色を塗りました。
もう既に良い雰囲気が画面から漂っていますね。
次回からの本格的描写も大いに楽しみです。

2016年5月25日水曜日

またまた夏陽気なお休み日

水曜日・薄曇り
アトリエ定休日

今月は平年より気温・湿度共に高く、今日も夏のような陽気でした。

大気中の水蒸気でけぶる今日の大山 (森の里・若宮橋上よりの眺望)

2016年5月24日火曜日

Chちゃんの水彩画・新作

火曜日・晴れ暑し

Chちゃん(小5)、製作中のワンちゃんの油絵はお休み。その代わりに新作を開始しました。


Chちゃん、図鑑からフクロウを選び、描き出しました。
今日は線描で輪郭取りを行い、最淡下地となる薄藤色を塗りました。
次回は新作のフクロウとなるのか、それとも油絵のワンちゃんの再開・仕上げとなるのか。
楽しみです。

2016年5月23日月曜日

明治の洋画ー6、青木 繁

月曜日・晴れ・全国的に真夏日が続出
本格的な夏の到来のようで、大気中の水分多く空も白く霞んでいました。
アトリエ定休日

「名作美術館(その173):明治の洋画(その6):青木繁の人体描写と光」
青木繁1882年(明治15年)福岡県久留米市生まれ~1911年(明治44年)若干28歳にて夭折。 

青木繁、満を持しての登場です。
日本の神話を題材にしたロマン主義的絵画で、裸の漁師たちが獲物を持つあの「海の幸」が代表作です。
教科書でもお馴染みの超有名作品でご存じの方も多いと思いますので、当コーナーでは取り上げません。
実は筆者、今回青木繁を取り上げたにもかかわらず、実はどこからどう進めて良いのやら当惑しています。
画家が愛読し、画題とした古事記等の神話には浅学。その代わりのエピソードはあまりにも多過ぎます。
同郷で共に上京した友が坂本繁次郎だったり、絵のモデルが恋人でその二人の子が福田蘭堂だったり。

画家のその短すぎる波乱万丈の半生を記すとなると、紙(画)面が幾らあっても足りません。
そこで、絵に限って言及することにしました。
もう御覧の通りの素晴らしい作品揃いです。
画家は生来のデッサン力で画面をドラマチックかつ強固に構築。西洋美術の規範の様式も難なく吸収。
画家は当時西洋で興った耽美主義の英国ラファエル前派の画風をいち早く取り入れ、東洋文化と融合。

短い生涯の数少ない作品には人物の表情や、人体の美しい典雅なフォルムやムーブメントも表現。
西洋美術の神髄であるギリシャ由来のコントラポストやルネッサンス由来の前縮法も消化しています。

「大穴年知命(オオナムチノみこと)」
仰向けの男性(尊・みこと)の前縮法を用いた肉体表現が見事です。
右の女性のモデルが、やはり画家であった恋人の福田たねと言われています。

「わだつみのいろこの宮」1907年(右はその部分図)、重要文化財

英国のエドワード・バーン・ジョーンズやフランスのギュスターブ・モローらの影響を自認していたとの事。
上の山幸彦の脚の前縮法や、左の女性(海の姫君?)の顔の下方からの反射光の表現が見事です。
水瓶を持つ右の女性の手の表情も素晴らしいですね。

「ヤマトタケルのみこと」          「温泉」
ギリシャ彫刻のような見事なコントラポスト(片足重心)が美しいムーブメントを造っています。

「森の夕」

「輪転」

「享楽」
神話を題材にした作品。優美な色彩、劇的な逆光表現、人体姿態がいずれも典雅で美しいです。

左:画家自画像     右:恋人、福田たね

放浪の旅の途中、肺結核が悪化して28歳で黄泉の国へと旅立った青木繁。明治時代きっての天才です。
今生では夫婦になれなかった二人の画家・青木繁と福田たね、その代わりに美しい作品を残してくれました。

* * *

「ミュージック・ギャラリー(その204)」

今日の当コーナーは青木繁の出身地福岡繋がりで、原曲歌手が同じ久留米の松田聖子、
今回のヴァージョンは、同じく福岡は春日市在住の女性歌手の清楚な歌声で紹介します。
その一人二重奏のようなエアー・ボイス、癒されます。

「瑠璃色の地球」、歌:手嶌(てしま)葵(あおい)

瑠璃色、群青色、ウルトラマリン、ラピスラズリ・・・。
紫味、もしくは赤味のある寒色系のブルー、筆者の大好きな色です。
テレビ、パソコン、絵具、ペンキ、看板・・・、巷や日常に色彩溢れども、なかなか出会えない色の一つです。
南米の熱帯密林に舞うモルフォ蝶やアメジストの原石などに見られる、きらめき輝く光のような色。
画家フェルメールが好んで用いた色、NASA撮影の我が星・地球も確かに瑠璃色に輝いています。


気温高くも、風吹き渡り快感。
されど先走ることなかれ、夏。
梅雨もまた留まれ、南の海へ。
しばし、薫風時を楽しみたく。

By 講師T