アトリエ・マイルストンブログ

2016年5月2日月曜日

明治の洋画ー3、黒田清輝

月曜日・晴れ のち 曇り
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「名作美術館(その170):明治の洋画(その3):黒田清輝(せいき)の『読書』」


黒田清輝(画家名がセイキ、本名はキヨテル)、「読書」、1891年(明治24年)、
キャンバスに油彩、東京国立博物館蔵

明治の巨匠・黒田清輝は、前回記述した高橋由一や藤島武二らと共に明治時代を代表、外せない画家です。
教科書でもお馴染みの扇を手に涼む女性を描いた「湖畔」や、重要文化財の「智・感・情」等が代表作です。
が、両作品共に筆者の好むところではなく、この筆者独断的な当コーナーには登場しません。ご了承下さい。

この「読書」は画家の滞欧時の作品で、窓からの外光を背に読書する女性の姿が巧みに描かれています。
画面の随所に細やかな筆致を残しながらも写実的に描かれ、その完成度が完璧な堅牢な構図も秀逸です。
読書に集中し、ページをめくらんとする女性の表情やポーズや、朱色と紺色の衣服の対比も美しい傑作です。
当作品は画家の渡仏9年間中(法律と美術を学ぶ)に当地で製作。翌年には裸婦像が現地の展覧会で入賞。

西洋印象派(外光派)の画風をいち早く取り入れ、帰国後は画壇でも大きな潮流・一派を作り上げました。
画家はまた明治における美術教育の頂点にも君臨し後進を育てる半面、西洋古典画的な画家たちを批判。
その西洋の伝統的写実画家達はヤニ(樹脂)派と呼ばれ、その中には前回登場の原田直次郎などの名も。
当時の美術界もまた江戸絵画の主流・狩野派と新興勢力の長谷川派との権力争いと同じような構図でした。
その功罪はともかく、近代日本の洋画のアカデミズム(官学)の基礎・方向を築いた巨匠と言える存在です。
画家はのちに子爵となって貴族院議員も歴任。正に明治時代を象徴する代表的画家と言われる所以です。
( 注:権威・権力が好きではない筆者、辛口な記述・見方かも知れません。ご了承ください。)

* * *

「ミュージック・ギャラリー:特別篇:元気歌ー2」

前回の特別篇:元気歌は、いきものがかりの「風が吹いている」(4/6アップ)で、今回はその2回目です。
上の黒田清輝は九州は鹿児島の出身、今回はその九州繋がりで、画家も同じ路線で上京したことでしょう。
当コーナー冒頭は特別篇として、以前紹介したCMプロモーション・ビデオを再びアップ(別バージョン)しました。

先般の熊本地震(4/14)では大きな被害に見舞われ、今も多くの被災者が不便な生活を余儀なくされています。
無力な身が情けない現実ですが、先日テレビでこのビデオが今また話題になっているとの報道がありました。
このCMの完成時にはあの東日本大震災が発生、全国的なプロモーションが未公開のまま自粛されました。
今回は熊本地震の「応援歌」として再び注目されているとの事で、当コーナーでも再度 取り上げてみました。

熊本地震より半月が経っても大きな余震がまだ続いていますが、
熊本地震で不通になっていた九州新幹線も復旧。復興も更に加速される運びとなるでしょう。
この元気が出る応援歌、自主参加した大勢の人々の姿・ドキュメント映像もまた感動的で魅力的です。

マイア・ヒラサワ、「ブーム」、九州新幹線・全線開通CM(2011年)
Maia Hirasawa " Boom "

歌っているのは日系スェーデン人のマイア・ヒラサワで、記憶によると父親が宮城県仙台市の出身でした。
このCMは震災で自粛中の国内を尻目に海外で話題となり、ギャラクシー賞など数々の賞を受賞しました。
他にカンヌ国際広告祭でアウトドア部門・金賞、メディア部門・銀賞、フィルム部門・銅賞などを得ています。
色々と震災繋がりではある「応援歌」ですが、物質の援助にはなれませんが心の援助となる歌と思います。


「ミュージック・ギャラリー(その200!):春爛漫 歌(その2)」

本来の当コーナーはこちらで、春の日差しを浴びて筆者の脳内ジュークボックスで自動的にかかりました。
原曲の詞は何も春限定ではありませんが、風薫るこの季節にピッタリだと感じて、今回の登場となりました。

レオ・セイヤ―、「(邦題)星影のバラード」
Leo Sayer, " More Than I Can Say "(1980)

上の邦題、今回 初めて知りました。筆者の春歌同様に、詞の内容とは全く関係ないタイトルにビックリ。
でもイントロのギターが始まった途端、そのゆったりメロディーにノック・アウトです。
もちろん歌手レオ・セイヤ―のファルセットを多用したブルーアイド・ソウル的な歌唱も素晴らしいですね。
ギターは典型的・後乗りビートで、イーグルズの「アイ・キャント・テル・ユー・ワイ」のD・フェルダーを彷彿。
楽譜にはけっして表せない音と音の間合いやスラ―、糸を引くような遅れ気味のグリッサンドが快感です。

筆者が生で聞いたのは喜屋武(きゃん)マリー擁するメデューサの演奏で、沖縄のムーン・ビーチでした。
夕焼けに赤くも青くも染まる海と大空に甘い旋律が溶け込んでゆき、この上もなく気持ち良い時空でした。

「春 爛漫、時に初夏」
ビールを呼ぶ そよ風や夕刻の季節、今ここに到来。

By 講師T