月曜日・晴れ
今日は気温が20度を超え、さながら春本番(5月)の陽気でした。
アトリエ定休日
「名作美術館)その111):印象派の先人ベラスケス」
当コーナー、スペイン絵画の初登場です。
今日はスペイン黄金期(17世紀)を代表する大宮廷画家ベラスケスの傑作の紹介です。
今回の作品、タテ3mx ヨコ2.8mもある大画面の油絵です。
画のタイトルは「ラス・メニーナス(女官たち)」と言うスペイン王室の宮殿内の様子が描かれた西洋美術史上の名品です。
従来のかしこまった肖像画とは異なり、王室の日常の一コマがまるでスナップ写真のように活き活きと描かれています。
画面全体図 その中央部・拡大図
ディエゴ・ベラスケス(Diego Verazquez )" ラス・メニーナス(Las Meninas)" 1656年、プラド美術館、マドリード
中央の王女に侍女や遊び相手の芸人や犬、傍らに画家自身、更に背後に侍従長らしきシルエットが描かれています。
画面中央の肖像画は国王夫妻の姿ですが、油絵ではなく鏡で、画面側にいる夫妻が映っていると言う説もあります。
時代を超越したリアリスティックな表現に一役買っているのは、近づいて見ると分かる生々しいほど残る筆触(タッチ)です。
以下は、部分拡大図です。
中央のマルガリータ王女
画面右側の侍女 宮廷画家の本人
筆触の無い写実が伝統だった当時のスペインのこの画家は、時代を超えて200年後の画家達を刺激することとなります。
画家の踊るような筆触が時と場所を越えて、フランスの画家達に再発見されるのです。後に印象派と呼ばれる一派です。
この革新的な宮廷画家のスナップ写真的表現とリズミカルで軽快な筆致に、時代が追いついた幸福な瞬間です。
同時に遙か東方の国からは平明で色彩豊かな木版画「浮世絵」が、この一派たちの目にも飛びこんで来ました。
画家の計り知れない影響が19世紀のパリで一気に百花繚乱、花開いたことは歴史の必然でもあったのでしょう。
今では当たり前のように感じられる筆触のある典型的な油絵表現ですが、その先駆者が画家ベラスケスなのです。
* * *
「ミュージック・ギャラリー(その137):季節先取りの春歌」
今日の画家ベラスケスとはスペイン繋がりで、この懐かしい曲を選ばせてもらいました。
今日の春本番さながらの陽気が、筆者の脳内ジューク・ボックス内でも鳴り響きました。
普段はあまりラテン音楽を聴くことのない筆者ですが、爽やかな瑞々しいこの曲、春に刷り込みされたのでしょう。
ビギン・ザ・ビギン / フリオ・イグレシアス (1981年)
Julio Iglesias " Begin the Beguine ( Volver A Empezar )
イントロのダブルストップ・ギターの音色が、ジョージ・ハリソンのマイ・スイート・ロードを連想するのは筆者だけでしょうか。
先週の「雨水(うすい)」も過ぎ、春は一歩一歩と近づいてきています。
先週まで硬かったアトリエ隣家の梅の蕾も、一気に膨らみ始めました。
南からの太平洋・黒潮の湿り気が、空気を滲ませるのも もうすぐです。
By 講師T