アトリエ・マイルストンブログ

2015年2月9日月曜日

ワイエスの春絵

曇り 時々 晴れ
( 朝の内、一時小雪 )
昼間でも気温が上がらず、今冬一番の寒い1日だったような気がします。

アトリエ定休日

「名作美術館(その109):ワイエスの春絵」

当コーナー幾度かに渡り紹介しましたワイエスの冬絵は、前回をもって取りあえず終了。
今回は人物画を取り上げました。

Andrew Wyeth ," Sili " , Egg Tempera (1970)

これまで紹介した厳しい冬景色とは異なり、若い女性の肖像画です。
室内の白い壁面を背景に、光りの方向へと顔・視線を向ける少女(?)の上半身が克明に描かれています。
画家は近所に住んでいたシリと言う少女をモデルに、彼女が成人になるまでの間に何点も描いたとの事です。
画面は前々回紹介した「Outpost」同様の正方形で、上部に間を取った緊張感溢れる構図が心地良いです。
色素の薄い少女の肌合い、光を受ける金髪、衣服の細部、背景壁面の密度等、見応えある強固な画面です。

この回のタイトルは自然界の春ではなく、このうら若き娘の思春期である意味合いの「春」で、命名しました。
衣装は、その当時のヒッピー&フォークロアなテイストで、社会との立ち位置等も暗示しているかのようです。
画家の思い入れなど一切お構いなし風の凜とした少女の生命の存在感と、光の透明感が織りなす宝石です。
(画面内クリックすると、大きな画像が得られます。画家渾身の細密描写の世界、とくとご覧ください。)

* * *

「ミュージック・ギャラリー(その135):春歌」

今回の当コーナー、上記のヒッピー&フォークロアなテイスト繋がりで、以前紹介した作品の再登場です。
60年代後半、反戦・反権威を主張する若者たちが米英を中心に欧州の都市やその周辺に出現しました。
筆者の育った復帰前のオキナワにもその波は押し寄せ、軍籍を離れた元米兵達が我が春を謳歌していました。
そんな時代のシンボル的なこの曲、春うららも感じられるこの曲、あらためて聞いてみたくなりました。
10年程前にTV・CMでも挿入曲として使われていたので、ご存知の方も多いかも知れませんが・・・。

シーズ・ア・レインボー / ザ・ローリング・ストーンズ
She's a Rainbow / The Rolling Stones (1967)

イントロから転がり出す軽快なピアノのメロディーとミュートのかかった音色が今聞いても新鮮です。
グランド・ピアノのフタを開け、弦の上に新聞紙を被せると、そんな感じの効果が得られるそうです。
曲のプロデュースが、レッド・ツエッペリンのジョン・ポール・ジョーンズなのも嬉しいですね。
バックでリズムをガシャガシャ刻むワイルドな音色のギブソン・ギターも良い味 出しています。
画像に出てくるワーゲンのデリバリー・バンも、筆者らの憧れのバンド御用達・楽器車でした。

筆者・高校時代の早逝した友人が、このピアノを耳コピで完全コピーして、良く弾いてくれました。
懐かしくもあり、切なくもあり・・・。

By 講師T

ワイエスの描いたシリも、考えてみれば筆者とほぼ同世代。
はたして、その後どんな人生を送ってきたことでしょうか。