アトリエ・マイルストンブログ

2019年6月10日月曜日

「入梅」の米国ポップス特集

月曜日・終日の冷雨
アトリエは お休み日



当ブログの投稿日に時差がある内に、巷では「入梅」に・・・。
そうとなれば、当コーナーでは例年恒例に取り上げるアレです。
と言う理由・繋がりで、「雨」にまつわる歌を集めて見ました。

「ミュージック・ギャラリー(その363):雨歌-1」


その第1回目の今回は、筆者の幼き頃や若かりし頃に親しんだアメリカン・ポップスの中から選んでみました。
皆さんもご承知の懐メロの定番(鉄板)曲が多くあると思います。

その冒頭、まずはこのこの曲、この名場面を。
20世紀の米国ハリウッドが産んだ正に傑作です。

邦題「雨に唄えば」、ジーン・ケリー
" Singing In The Rain " , Gene Kelly (1952)

米軍施政下のオキナワで育った幼少時代の筆者の映画・音楽の「雨」の原体験です。
白黒TVで見た米国映画、ラジオから流れ出た米国ポップス、全ては輝いていました。

米ソ冷戦の筆者幼少期、故郷は全てが軍事優先で民間放送は著しく制限されていました。
ラジオやTV、まず英語による放送が先行、日本語による放送はその後に認可されました。

ハリウッド映画の最高傑作シーンの一つと言っても異論のある方はいないでしょう。
熱演のジーン・ケリー、撮影時に40度の高熱だったとの伝承はあまりにも有名です。
雨の飛沫もしかと見えるようにと、雨水に牛乳を混ぜたと言う逸話を聞いた記憶も。
このシーンが撮られるまでに何テイクを要したのか不明ですが、もう完璧の極みです。
大量の人工雨の中の横移動のシーン、詞と表情と動きのコンビネーションが絶妙です。
映像・演技の素晴らしさについ記し忘れましたが、
多重録音も不可能な当時のレコーディング技術で一発録りで録音された演奏も秀逸です。
決して色褪せることのない当時のアメリカ映画の底力に、21世紀の今日からですら感激してしまいます。



さて次の雨歌も全米1位に輝いた大ヒット曲です。
ジ・アメリカン・ポップスと言う呼称に相応しい名曲です。

邦題「悲しき雨音」、ザ・カスケーズ
Rhythm Of The Rain, The Cascades (1962)

雷鳴の後に雨音とそれらの雫を感じさせるやさしい音色のビブラフォンが歌へと導入。
親しみと切なさが入り混じった傑作イントロです。拍子抜けするような間奏のオルガンも素朴で良い味です。
その間の抜けたような奏法だからこそ、何だか失恋の痛手で放心状態に陥っている男性歌手のようで絶妙です。
後半アウトロ部の歌詞のピタパタとは、日本語で表現する雨音のシトシト・ピチャピチャと共通の擬音です。

半世紀前、元々は筆者小学生の頃のヒット曲で中学生になった頃、ラジオやレコードで幾度も聴いたものです。
その当時はドーナツ盤と言うシングル・レコードが主流で、買えない曲は友人間で貸し借りしてました。
自然発生的にレコード貸し借り組合のような状態となり、1学年17クラス(55名クラス)で学年をも超えて、
中には適当な奴もいて、返してもらえなかったり、ジャケットや盤が汚されたりして、悲しい思いもしたり、
でも学校人気No,1の女子から借りたりもして、そのジャケット記入の名前に一人 微笑んだりもして(n*´ω`*n)、
1枚のレコードが介した100名余の友人たちとの様々な出来事と想い、今となっては良き思い出です。



次の曲もまたそんなアメリカン・ポップス全盛期の頃の雨にまつわる名曲の代表曲です。

邦題「雨に消えた初恋」、ザ・カウシルズ
The Cowsills - " The Rain, The Park & Other Things " (1967) - with Lyrics

こちらの曲も雨音から聞こえ、涼やかなオルガン・サウンドとハープが情緒を醸し出す名曲です。
カウシルと言う姓の家族グループで、その構成は男子6名と継母と言う仲良くも面白い編成です。
長兄のリード・ボーカルと共に、曲の随所にて折り重なる兄弟ならではのハーモニーも絶妙です。
そんな歌声もさることながら、バック演奏(楽器編成や音色をも含めた)のアレンジも素晴らしく、
当時の米国音楽界のプロデュース力に、厚みや凄味を感じるのは筆者だけではないと思います。
余談ですが、
その当時、故・大橋巨泉氏が「牛も知ってるカウシルズ、ウシシ・・」なんて言っていたことも。


最後のこの曲はもう雨歌の定番中の定番、皆様ご存じの世界的大ヒット曲です。
上の「雨に唄えば」同様、映画のサントラ盤で、アメリカン・ニューシネマの「明日に向かって撃て」のテーマソングです。

邦題「雨にぬれても」、B.J.トーマス
" Raindrops Keep Fallin' On My Head ", B.J.Thomas (1969)


ギターの軽やかなコード・ストロークが印象的なイントロで始まるこれまたリラックスした歌唱が印象的な名曲です。
作曲は、70年代に素晴らしい上品なアメリカン・ポップスを数多く世に送り出した、あのバート・バカラックです。
当コーナーで幾度か紹介の「ラフター・イン・ザ・レイン」同様の軽やかさがアメリカならではの風土を感じます。
またYouTube上には、映画の中の名場面(動画)入りの訳詞バージョンもあるので、興味のある方はこちらもどうぞ。

以上、今年の「雨歌」の第1回目は、懐かしのアメリカン・ポップスの中から4曲をお届けしました。

これらの曲を生み出した20世紀も、南の小島にて聴いていた昭和も、随分と遠ざかってしまいました。
流れ出でていた真空管ラジオも、針を落としていたレコードや電蓄も、もう身近には無く、過去の彼方。
レコードを貸し借りした友の幾人かも令和を迎えることなく黄泉人となり、筆者の身体と記憶もまた何れ。
( 中には平成をも迎えずして、早々と逝ってしまった親不孝極まりない友も数人にものぼり・・・。合掌 )
今宵またYouTubeにて彷徨う宇宙空間と思い出狭間。しばし優しい音楽たちに包まれたいと願う今日です。

* * *


新コーナー「ミニ・ギャラリー(その2):雨夜景」 


前回より始まった当コーナー過去分からの焼き直し(;^ω^)の2回目です。
今回は「梅雨入り」にて雨をテーマに統一。一昨年のT講師コーナーにて紹介済みの雨作品を取り上げました。


作者:ジェレミー・マン(米国)
Jeremy Mann ( American Impressionist Painter ), 1979

雨の日の夜景は筆者も大好きです。雨水による光の反射やその滲み、都会の(静かな)喧騒や風や匂い等・・・。
安全運転には留意しながらも、街灯や信号機の明滅や路面上の反映など見とれることもしばしば(停車中です)。
上のアメリカン・ポップスと共に、ご鑑賞下さい。

* * *

ともすれば憂鬱な気分に陥りがちな雨多きこの季節。少しでもお楽しみいただけたのなら幸いです。
また天候による寒暖差の激しいこの時節、体調不良にならぬよう、充分気を付けて過ごしましょう。
水分補給も忘れずに。
(*^-^*)


By T講師