アトリエ・マイルストンブログ

2019年12月9日月曜日

冬空に輝く「ブルー・ムーン」

月曜日・曇り(夜 雨)
アトリエお休み日
( アトリエは先週末・土曜日より再開しました。)
(筆者のインフルエンザも治癒し、元気を取り戻しました。)
!(^^)!
「健康な日常こそ宝」
つくづく痛感

筆者注:当ブログ最後尾に後日追加のギター・コード動画の付録があります。
よろしければ、そちらも併せてお楽しみ下さい。
😊



前回・前々回の「ウォーム・ジャズ特集」に続き、3回目のスタンダード・ナンバー大盤振る舞いと参ります。
3回目の今回もまた古き良きアメリカのシンプルかつメロディアスなバラードのカバー曲の数々をお届けします。
日毎・寒さ増すこの季節、大陸由来の透明・清楚な空気と相まって、夜空もまた美しさを更に増してきました。
そこで・・・

「ミュージック・ギャラリー(その390)」
「冬空に輝くブルー・ムーン てんこ盛り・三昧」


有り難いことに、嬉しいことに、幸いなことに(寿三連発)、
筆者幼少の頃より米国生まれのポップスやスィング等を聴いて育ち、それは半世紀以上の今も飽きることなく(!)、
筆者の人生の節目節目でいつも筆者の心を温め、楽しませ、幸せにしてくれています。
映画や音楽好きだった父の要望・趣味で契約した「親子ラジオ」と言う有線放送が、米国音楽との出会いでした。
どれほどの楽曲との出会いがあったのか、今となっては不明ですが、小学校入学前であったことだけは確かです。
グレン・ミラーやサッチモ(ルイ・アームストロング)、ナット・キング・コールやハリー・ベラフォンテ等々、
戦後のスィング・ジャズやカントリー、トラッド・フォーク・ソング等々、ジャンルも多岐に渡っていました。

今回特集のこの曲もまたいつしか筆者の耳に入り・記憶に残り、後年、親子ラジオから米国原版レコードへと移り、
有り難いことに、小学校低学年以降の筆者にとっては日常的な米国生まれの楽曲の一つとなっていきました。

1934年生まれ(!)のこの楽曲、様々な歌手や演奏家らに歌い継がれ、数多くの編曲・名歌唱が生まれました。
今回特集では最も古いジャズのバージョンで。
歌うはやはりジャズ・シンガーの歴史と言っても過言ではないこの歌姫から・・・。
( 筆者注:豊かな低音再生のため、是非 外部スピーカーやヘッドフォーン利用にて、お楽しみ下さい。)

ビリー・ホリデイ

" Blue Moon (1952)" - Billie Holiday

Original composed by Richard Rogers and Lorenz Hart. in 1934(!)

彼女の自伝「奇妙な果実」を多感な高校生の頃に読みましたが、その悲惨な経験はブルースそのものです。
間奏で心地よくブローしているテナー・サックスは、心の恋人・レスター・ヤングの演奏かもしれません。
彼女のクールで虚無的な歌声、好きになったり逆になったりで、自らの心理状態でどちらにも転ぶ魔力があります。



レコードで初めて聴いたのが、確かこのプレスリー盤です。
このコーナーでも度々記述・登場の叔母が、愛人の米国人将校から貰ったLPレコードの中の1枚でした。
幼稚園前後の筆者には彼の「ロックンロール」はまだ早過ぎましたが、バラード曲には惹かれていました。

エルビス・プレスリー

Elvis Presley - Blue Moon (Lyrics),1956


それにしても超大胆なアレンジ、スラップ・ベースにクラベスかボンゴ状の打楽器風鍵盤に微音量のギター、
まるで正式レコーディング前の、ごく私的な初期デモ音源テープでも発掘されたかのようなバック演奏です。
春先の盛りの付いた犬の遠吠えのような裏声によるスキャット、世間を席巻した自信の成せる技か・・・。


時代はグンと現代に近づいて、元ロック・シンガーの歌う「ブルー・ムーン」です。
彼は昨今数多くの米国スタンダード・ポップスの名曲群をカバーしており、その中から筆者も2枚ほど愛聴しています。
嬉しいことに当動画、日本語訳詞も付けられていて、その曲や詞の世界がよく理解できます。
「ブルー・ムーン」言葉の響きからロマンチックな状況を想像しがちですが、ところがさに非ず、
音楽のブルース同様のネガティブな雰囲気を持っていて、幸せになって黄金の月に変貌します。

ロッド・ステュアート

Rod Stewart ~Blue Moon ~ft. Eric Clapton 日本語和訳付き





今回のカバー曲で、筆者お気に入りの個性派の何組かと行き当たりました。
下の彼女もそんな一人で、昔風に仕上げた動画でのオールドファッションなドレスとヘアースタイルが似合っています。
ブラウン管テレビや壁紙等もレトロで、マイクも米国シュア―社製の通称「骸骨マイク」で、懐かしい雰囲気満載です。
サウンドもウッド・ベースに、トレモロたっぷりなテレキャスターやスティール・ギターの雰囲気がチョー涙ものです。
録音が秀逸で、特にウッド・ベースの指によるアタックと、ボディー全体が共鳴する低周波の両者が良く聴きとれます。

ハイジ・フィ―ク

Heidi Feek - Blue Moon



こちらは往年の名曲カバー等でお馴染みの米国の哀愁漂うカントリー・タッチな渋目のグループです。
こちらのサウンドもまた気だるいスティール・ギターやアコーディオン等が活かされていて秀逸です。

カウボーイ・ジャンキーズ(BBC英国国営放送)

Cowboy Junkies - Blue Moon Revisited,(BBC)


このノスタルジックなダウンホーム感、もうお酒が飲みたくなって堪らなくなってしまいます。
遠くから聞こえて来る汽笛のようなブルースハープの音色・旋律も米国ならではの雰囲気です。

V(#^.^#)🍷




こちらのコーラス・デュオもまた往年の米国コーラス・グループを彷彿とさせるような雰囲気が堪りません。
エルビス・プレスリーが録音デビューした米国テネシー州メンフィスの「サン・スタジオ」での収録です。
( 筆者注:音量、他の上下動画に比較して多少オフ気味です。ボリューム・アップしてお楽しみ下さい。)

ザ・ピーシズ(姉妹)、BBC(英国国営放送)ドキュメント

The Pierces (L.A.) sing Elvis' " Blue Moon ", At Sun Studio U.S.A, BBC, 2014


ピーシズ姉妹の力みを捨て去ったリラックス・ハーモニー感が、何とも言えない懐かしさを感じさせてくれます。
筆者の20代前後の若い頃なら、確実にチーク・ダンスのレパートリーとして取り入れていることと思います 😊 。
ドラム左手の竹ひごブラシや、古いエピフォン・ギター(リビエラ)のトレモノ・アーム・ワークも良い味出してます。
このまま甘いコーラスのやさしい響きに包まれて、酔いつぶれて寝入ってしまいそうな泡風マイルドさが堪りません。



さて最後を飾るのは有名な歌手ではなく、詳細は不明ながらCDデビューしたばかりの女性の情緒溢れる歌唱です。

イジ―ネイラー

blue moon (acoustic cover), by issienaylor


テイラー製のエレアコをつま弾きながら淡々・切なく歌う姿は新鮮で、衣装も当曲を意識した宇宙的な図柄で良い感じです。
歌詞にあるように、衣装とネックレスのラッキー・サインの黄金の月(三日月ですが)も幸せのサインで嬉し気です。
右端のモンステラ脇にはマニキュアの小瓶も置かれていますが、本人は何故か左手の中指1本だけが塗られています。
引き(オフ)気味なコーラスや効果音風な散発ピアノの音色も筆者のお気に入りです。
背景のLPジャケットは当曲を歌っているエラ・フィッツジェラルドで、傍らの電蓄(今や死語)も往年の雰囲気がバッチリです。
「エッ、バッチリもまた死語(?)と来たか・・・。」

* * *

INSTRUMENTAL " BLUE MOON "

以上、様々な個性・アーチストによる歌唱の数々、お楽しみいただけたでしょうか。
ここからはインストルメンタル(器楽曲)の「ブルー・ムーン」の特集といたします。

多重録音やシンセサイザーの台頭など、デジタル音声技術が音楽界を席巻して久しい今日ですが、
生の個性を持ったミュージシャンらの集合体としての楽団の魅力は、現代社会では再現不能です。
特に前世期に於いて巨人の名を欲しいままに、我が世の春を謳歌した米国の底力は今も頂点です。
組合があるにせよ、様々な個性を集め、集合離散を繰り返し、楽器の持つ表現力を最大限に発揮、
数多の楽団のリーダーたちの努力・尽力には頭が下がる思いしかなく、その音楽遺産は不滅です。
筆者の四の五の能書きはこれ位にして、偉大なる米国産の楽団らの不滅のサウンド、ご鑑賞を。
それぞれの編曲・持ち味が快感です。



トロンボーン奏者がリーダーだけはある楽団のカラフルな甘いサウンドが絶妙です。
地味ながらも端正なウォーキング・ベースも快感で、まるで50年代そのものの味です。
50年~60年代前半を彷彿とさせる分厚い男女コーラスやボーカルも絶品です。

グレン・ミラー楽団
Glenn Miller ," Blue Moon "


サックス隊やトロンボーン隊のハーモニー・ユニゾン、胸が締め付けられて快感です。
サックス隊の織りなす甘い倍音を含んだハモりハーモニー(妙な日本語)、超絶妙です。
リーダー、R・アンソニーの唇(アンブシャ―)の強いトランペットの音色も特筆ものです。

レイ・アンソニー楽団

Ray Anthony, Blue Moon




スペーシーなストリングスの調べ、もう言葉など要らぬほどの超絶品です。

パーシー・フェイス楽団

PERCY FAITH - BLUE MOON



以上、
これらの3楽団、一体何人の演奏家が当時の録音に参加しているのか不明ながら(多分2~30x3=60~90名程?)、
今やそのほとんどの方が故人だと思いますが、彼らの芳醇な感性とスピリットは今世紀もまた不滅の魅力です。
デジタル&ピュアな世界の現代では決して味わえない温かなアンサンブル、ご堪能いただけたのなら幸いです。

* * *

今世紀風情緒のmajor 7th コード タップリなスイート・ピアノ・トリオもどうぞ。

Azul Jazz, " Blue Moon "
Drums: Erick Durante Debernardi E.Bass: Arturo Rodríguez Gonzales Piano: Juan Carlos Rodríguez Cerdán


最後は現代風なアレンジに乗せたテナー・サウンドを・・・

テナー・サックス演奏:ケヴィン・ボルトン

Blue Moon - Tenor Saxophone Solo by Kevin Bolton


これだからYouTubeサーフィン、カバー曲三昧が止まりません。
今夜もまどろみアルファ―波・お酒が一段と進みます。

V(#^.^#)🍷




いつ頃からか、気がつけば筆者の幼年期にスムーズに浸入し、定番曲の一つとなった「ブルー・ムーン」・・・。

青春時代の一時期に於いて米英のロックに熱中し、これら幼少時代の名曲らを捨て置いていた時期もありましたが、
20歳を超え歳を重ねると共に、白人音楽経由にて黒人のジャズやブルースを聴くようになりルーツ音楽を再認識し、
無機的なハイファイ・サウンドでは得られないその温かいぬくもりに過去の記憶が蘇り、再確認を果たしました。
それは未来の夢世界だった今世紀21世紀になって、なお増々その音楽たちの価値にあらためて感服している次第です。

以上、これら楽曲を熟知されているご年配の方々、今まで縁の薄かった若い方々、お楽しみいただけたのなら幸いです。
(#^.^#)
_(._.)_

以上、「ブルー・ムーン」七変化ならぬ無限(夢幻)変化(へんげ)でした。

By T講師

* * *


[後日追記付録:「ブルーム―ン」、演奏者のためのギター・コード]


音楽を鑑賞するだけではなく、その演奏を気軽に楽しみたいと言う方々のために、
その基本となるギターのコード・ワーク動画をYouTube上よりお借りしてきました。

1番目はジャズ、2番目は旋律を伴ったコードにてのフィンガー・スタイル、
そして3番目がカントリーやポップス等の基本的コードのストローク版です。

3 WAYS TO PLAY " BLUE MOON " Tutorial Lesson Guitar Chords & Tabs

難易度としては最初のジャズが4声のヴォイシング・コードにて、最も難しいもの。
そして2番目が弾き語り(独奏)にも有効なメロディーと分散和音を用いたソロ奏法。
最後の3番目が筆者が最もお勧めする、基本的なコードによるストローク奏法です。

この動画を紹介する筆者自身も何を隠そう1番目の4声ヴォイシングはお手上げ状態です。
1拍ずつ変化したりするテンションや分数コード等が複雑過ぎて左手指がからまりそうです。
20代にジャズやボサノバ用に4声コードの習得を試みましたが練習続かず、途中で諦めました。
ジャズ・ギターを志す方は、4声のコードの種類や変化等とても多いので最初から欲張らずに、
この曲のように1曲だけに絞って習得、徐々に増やしていくのが最も近道でベターな方法かも。
筆者若かりし頃にはこのように親切な動画や練習CD等もなく、ジャズ・コード本も稀有でした。
Y (;^ω^) Y

歌の伴奏(バッキング)には、やはり3番目のコードでストロークやアルペジオを楽しんだりするのが理想的です。
上のプレスリーやイジ―ネイラーさんらのバージョンで、多くのミュージシャンが当スタイルで演奏しています。
今回のコード進行は典型的な循環コードと言う形式で、多くの楽曲にて同様の進行パターンが採用されています。
( ちなみに筆者の現有実力では、2番のコード基調の旋律プラスは演奏可能なので、ソロでは楽しめそうです。)
「音楽」(特にポップス等の大衆音楽)は、文字通り日常生活の中で気張らずにみんなで音や合奏を楽しむものです。
一人で・友人同士で・または米国のように家族で、ギター抱いて室内や屋外や夏場のキャンプ等で楽しんで下さい。

「筆者の脱線昔話」

筆者らも高校時代のキャンプにはギター持参が当たり前で、みんなで海辺や夜にはファイヤー囲んで歌っていました。
何本かのギター、つい寝込んで朝に目覚めたら満ち潮の海上浮遊や、夜露に濡れて分離した悲しい失敗もありました。
( 言い訳をさせていただくと、けっして筆者のミスではなく、使ったくせに放置してしまったアホ友人のポカです。)
あと、闇夜に踏んづけてボディーやネックを破損させたり、中にはキャンプ・ファイヤーで焦がした御仁もいました。
「故郷の若者・馬鹿者、ギター受難」
( ;∀;)
とは言え、それは故郷の若者の良さでもあり、中古の安物ギターを普段着のように大音量にて弾き倒していました。
逆に本土の若者の多くは、高価な新品ギターをハード・ケースにて大切に保管、その反面 使用頻度が少なめでした。
どちらが良いのかは当然個人の価値観によりますが、筆者的には前者の日々・常時・安物弾き派を断然支持します。
弾けば弾くほど表面やネックやフレット等それなりに痛んできますが、音質・音量は俄然良く鳴るようになります。
もちろん、肝心要(かなめ)の表現力も (*^^)v
そんな時代の沖縄、ビーチ・パーティーの米兵の団体さんやその家族らともよく合流し、音楽は共通語のようでした。
米人らと共に歌った曲は「ユー・アー・マイ・サンシャイン」「ヘイ・ジュード」「カントリー・ロード」等でした。
他にも「テル・ミー」や「風に吹かれて」「500マイル」等で、歌詞もギター・コードもシンプルで良い時代でした。
筆者の印象では、白人男性は大音量ながらヘタ(失礼!酒のせい?)多く、女性に歌唱巧者が多かった記憶があります。
手前味噌ながら、筆者のコード・リズム・ストロークは人気があり、米兵らからも色々な曲をリクエストされました。
「朝日のあたる家」「ヴイ―ナス」「太陽の当たる場所」「プラウド・メアリー」「レット・イット・ビー」等々・・・

ついでに「オリオン・ビール!」「バドワイザー!」「クアーズ!」「ミケロブ!」「ミラー!」乾杯!チアーズ!
「デージ(very) 懐かしいやっさー!」(も一つ ついでに「チ○チ~○!」。未成年飲酒、もうとっくに時効で~す!)
V (#^.^#) V

(再びの)By T講師