アトリエ・マイルストンブログ

2014年8月25日月曜日

和田三造の「南風」

月曜日・未明の降雨・曇り
アトリエ定休日

定休日(割と)恒例の、
「名作美術館(その87):夏海」
今回は、これ!

和田 三造 (1883~1967) 作 「南風」 1907年(明治40年)
東京国立近代美術館 所蔵

絵の季節が「夏」かどうかは定かではありませんが、筆者の勝手な見立てでは絶対の夏海です。

中学時代の美術の教科書でもお馴染みのこの作品、説明の要らぬ、ご覧のとおりの名作です。
大島沖を和船で漂流している4人の海の男たちの姿が、克明にドラマチックに描かれています。
西洋の知識・技術・文化を貪欲に吸収・消化した明治人の気骨が、ダイレクトに伝わる油絵です。
視覚情報の少ない明治にして、画家のこれほどの技量・力量には、驚嘆・絶句してしまいます。

家族や恩師の反対を押し切って志した画家が吸収した西洋美術の巨匠ミケランジェロやカラバッジョを、
或いはまた鎌倉時代の天才彫刻家・運慶・快慶の金剛力士像(東大寺)を彷彿とさせる肉体描写です。
しかも この絵の題材、画家本人の実際の漂流体験から生まれ出た作品だとの事!

また余談ですが、戦後、画家は映画「地獄門」の美術・衣装等を担当、アカデミー賞衣装賞も受賞しています。
同年(1954年)、その地獄門は色彩の美しさも激賞され、カンヌ国際映画祭でもグランプリを受賞しています。
恐るべし、和田三造!

* * *

「ミュージック・ギャラリー(その109):夏歌」

夏」繋がりの当コーナー、やはり筆者の見立て(聞き立て?)は、独断で断然の夏と言うことで、
今回は、これ!

ステッペンウルフ 「ボーン・トゥ・ビー・ワイルド(邦題:ワイルドで行こう)」
Steppenwolf " Born To Be Wild (1969)

アメリカン・ニュー・シネマの金字塔的・映画「イージー・ライダー」の余りにも有名な挿入歌。
カナダのロック・バンド、ステッペンウルフ、バンド名はドイツ人作家ヘルマン・ヘッセの荒野の狼から名付けられたとの由。
ゲーテもヘッセも、その当時流行っていて筆者も色々読みました。
高校進学と共に、映画も大ヒットして彼らの代表作となりました。
ベトナム戦争・真っ盛りのオキナワでも、GIたちの間でチョッパー(ハンドル)・バイクが流行っていました。
ちなみにこの曲、筆者がドラムで参加していたコピー・バンドの十八番(おはこ)の一つでもありました。

和田三造の「南風」で、この曲が果たして合うのか微妙ですが、抑揚感には少しばかり共通のものがあるのでは・・・?
筆者の(再びの)夏戻り・・・。

By 講師T