アトリエ・マイルストンブログ

2016年11月28日月曜日

ワイエスの「冬枯れ立ち木」

月曜日・未明の雨、曇り
アトリエ定休日

久々の「名作美術館(その200!)」

「ワイエスの冬枯れ立ち木」

今は晩秋、それとも初冬?
当コーナー200回目の今回、そんな季節にふさわしい風景画を取り上げてみました。
当コーナーでは冬になると頻繁に登場いただいているアンドリュー・ワイエスの作品です。

「雪の白」を特徴とするワイエス作品、枯れ色の褐色もまた独特な質感を伴って魅力的な存在にしています。
今回も3作品もまた画家独特の抑制された色使いで、「冬枯れ立ち木」のみを画面いっぱいに描いています。
画題としては何の変哲もない対象物で、むしろ地味とも言える存在のテーマだと断定出来そうです。
しかし画家はその非凡な視覚感性と技術とで、この地味な対象物を神的な高みにまで昇華しています。
その生々しいリアルさは抒情的でもあり、また同時に哲学的ですらある存在と化しています。
右手のクリーク(灌漑用の小川)とおぼしき水面とそのほとりの紅葉。左手の人家や黄葉。背後の耕作地。
葉を落とし命を繫ぐ樹木はもがくような無数の枝を持ち、人々の営みをただ静かに俯瞰しているようです。

アンドリュー・ワイエス、「ペンシルべニアの風景」、テンペラ画、1980年
Andrew Wyeth , " Pennsylvania Landscape ", Tempera on panel,1980


「シカモアの木」                     「斧(おの)」
Left: "Cycamore ",Watercolor                           Right: "The Ax",Watercolor

この2点の水彩画も1本の樹木の幹が描かれていますがその全貌ではなく、その枝振りもまた一部のみです。
その背景や土台を成す土や木立が落葉同様に季節を物語り、その季節の持つ透明な空気感や光をも表現。
その清楚で透明な空気感や光こそが、モチーフの裏側に潜む画家の真のテーマだったのかも知れません。
その裏テーマに導くのが樹木表皮に張り付いた光と影のコントラストで、画家の大いなる関心事の一つです。
画題の「シカモア」も「斧」も単なる作品呼称の記号であり、画家の心の目は意外にもそこには無いのかも。
「冬枯れ立ち木」
湿度の希少な乾いた空気や物体の質感。それがこの作品の描かれた、画家が身を置いた季節の徴しです。

* * *

「ミュージック・ギャラリー(その243):追悼特集」

またもや20世紀アメリカ音楽を代表する偉大なるシンガー・ソングライターが逝ってしまいました。
ブルースやゴスペルやカントリーを融合させたアーシーで男臭いスワンプ・ロックと言うジャンルを確立。
その当時のエリック・クラプトンやR・ストーンズ、CCRらにも多大な影響を与えた大物ミュージシャンです。
クセのある歌唱ながらそのメロディアスな楽曲群が多くの音楽家に支持・尊敬され、カバーされてきました。
対極のような存在のカーペンターズも今回当曲や、スーパー・スター、マスカレード等をカバーしています。
ミュージシャンズ・ミュージシャンと呼称・敬愛された、正に米国を代表する大人物でした。
今回はそんな彼の数ある名曲の中から、迷いつつもやはりこの代表曲を取り上げました。

レオン・ラッセル、「ソング・フォー・ユー」
Leon Russell, " A Song For You ", 1970

youtube上、歌詞付きの動画も幾つかありましたが、全て転載不可のブロックが施されていました。
独特な歌いっぷりと、ピアノとホルン(バス・トロンボーン?)のみによるアレンジもとてもユニークです。
歌詞も独特のリリカルさで、カレン・カーペンターの歌声によるカバーも絶品で、筆者の大愛聴曲です。
他にもレディー・ブルー、ブルー・バード、ワンモア・ラブ・ソング等、お酒(ウィスキー)が欲しくなる曲多し。
音楽性高くとも、人生の味みたいなものが希薄になりつつある昨今、過去形にするには惜しい世界です。

 男たちもつい惚れてしまう男・レオン・ラッセル逝く、享年74歳。
「筆者の青春もまた更に遠のき、終演の時、更に近づくを知る」
「冬枯れ立ち木」
早や春再来を信じ、待ち、望み、想う・・・。

By 講師T