アトリエ・マイルストンブログ

2015年5月18日月曜日

ベン・シャーンの音楽絵、再び

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「名作美術館(その124):人間画家ベン・シャーンの音楽絵」

当コーナーで幾度か紹介済みのアメリカの画家ベン・シャーンを久々に取り上げました。

" Blind Accordion Player "

" Singer and Guitarist "

" Orchestra of Four Instruments "

「盲目のアコーディオン弾き」「歌手とギタリスト」「4つの楽器のオーケストラ」、いずれも素朴な味わいを持つ名画です。
言葉の説明が野暮に感じられるほど分かりやすい絵です。3番目の作品題名の4つとはギタリストのハーモニカです。
画家はその一生を通して、社会の底辺にて生きるマイナリティー(少数者・弱者)に、暖かな眼差しを向け続けました。
画家の絵に登場する人物達は音楽を楽しんでいるのではなく、悲しみや苦しみの発露・浄化装置としている感じです。
哀愁をたたえた渋く派手な色彩が、人々の悲哀をよりいっそう際立たせているように、筆者には感じられてしまいます。
重たく、ぬぐい去りようのない日常から逃避し、明日への活路を見い出し得るのは音楽の持つ偉大な力だと思います。
画家はそのことを良く理解し、絵画にもその手法を持ち込み、絵画自体にもまた共感の浄化装置を取り付けたのです。

* * *

「ミュージック・ギャラリー(その152):偉大なる哀歌歌手、死す」

今回の当コーナー、上述のベン・シャーンと共に、同時代を力強く生き抜いた大音楽家の哀悼特集です。
去る14日、現代アメリカ音楽を代表するブルース・ギタリストのB.B.キング氏がその生涯を閉じました。
BB(ブルース・ボーイ)の愛称で慕われた音楽家の長い生涯は、享年89歳でその幕が降ろされたのです。
エレクトリック・ギターをソロ楽器に押し上げ、世界中のあまたの音楽家達に影響を与え、ブルースとロックを育てました。
BBの名曲・名演 ・代表曲 数あれど、今回は筆者の大好きなこの曲を選び、その追悼とします。

B.B.キング 「メモリー・レーン」
B.B.King "Memory Lane"(1985)

日頃、BBはギタリストと紹介されるのが常ですが、筆者の独断では明らかに哀歌(ブルース)の歌手です。
BBのノドもさることながら、太い手に抱かれたその楽器は、彼のノド同様に豊潤に良く歌い上げていました。
あのルイ・アームストロングのコルネット同様、楽器を越えたもう一つの肉声と言っても過言ではありません。
この曲でもギターはほんの数秒間その片鱗を垣間見せるだけですが、BBの人徳そのものに満ちています。
20世紀が育んだ、大きな愛がまたひとつ地上から去り逝きました。

今夜はバーボンでも用意して、BBの底抜けにアッケラカンとした二つの歌声に針を落としてみたいと思います。
筆者若かりし頃、幾度もそうしたように・・・。

By 講師T