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「名作美術館(その114):ドライ&ビッグ・アメリカ・バイ・アベドン」
Dry & Big America by Avedon
先週に続き、今回もアメリカを代表する写真家、リチャード・アベドンの作品を紹介します。
ファッション写真家としてスタートした写真家ですが、肖像写真家として各分野のセレブリティー達を撮影しています。
その初期は、前回紹介しました6x6cmフィルム・サイズのブローニー判カメラで、中間調子・無地背景を多用しました。
コール・ポーター(作詞・作曲家) ジャコメッティ(スイス出身、彫刻家)
ザ・ビートルズ サイモン&ガーファンクル
ナターシャ・キンスキー(女優) アンディー・ウォーホル(ポップ・アーティスト)
ジャコブ・アベドン(写真家の父) オッペンハイマー(物理学者、原爆開発者)
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その後、ファッション写真で習得した高度なライティング技術を基に、写真家は更に鮮鋭な画像作りに専心します。
写真家は余計な情報は可能な限り削ぎ落とし、ドライに対象に迫り、更に巨大な焼付プリントを制作・提示しました。
ヴィレム・デ・クーニング(画家) ジューン・リーフ(彫刻家)
名も無き市井の人々(アメリカン・ウェスト・シリーズより)
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写真家は大画面プリントのために、8x10インチ(約20x25cm)の大型カメラを重用し、その対象人物も広げてゆきました。
8x10インチ大型カメラと写真家 特大プリントをチェックする写真家
スタジオを出て、旅先での撮影準備をする写真家とスタッフ。
テンガロン・ハットの人物は被写体で、作品となっています。
写真家の造り出してきたドライ&ビッグな写真の数々は、現代アメリカの一断面を見事に活写しています。
その情熱と感性と技術は新大陸アメリカならではの非伝統的・即物的方法論で、新しい視野を開拓しました。
70年代、筆者は写真家の国内初の展覧会を見て、そのスケールの大きさ、深さに大きな衝撃を受けました。
原寸大の顔面の毛穴やシミ、衣服の繊維目や縫い目、その背負っている歴史や時間・空間の堆積等々・・・。
それまでわが国で主流だった粗い粒子の木版的でウェットな文芸情緒的写真が、小さく感じられたものです。
アメリカだけが持つ非欧州伝統的・非情緒的ダイナミズムの凄さを、あらためて肌身で感じた展覧会でした。
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「ミュージック・ギャラリー(その140)」
今回の当コーナー、もちろんアメリカ繋がりで、写真家と同様のNY出身の偉大な2人組音楽家の登場です。
筆者、中三の時にやはりアメリカに強い衝撃を受けた思い出の曲で、写真家の作品にも登場していますね。
英語の先生が国内発売前のアメリカ原盤を米軍基地内のPXで入手し、授業で訳を交えて聞かせてくれました。
国内の流行歌のそのほとんどが恋愛物で占められていた時代に出会い、その詞に完全ノックアウトされました。
サウンド・オブ・サイレンス / サイモン&ガーファンクル
The Sound of Silence / Simon & Garfunkel (1965)
今回の当コーナー、もちろんアメリカ繋がりで、写真家と同様のNY出身の偉大な2人組音楽家の登場です。
筆者、中三の時にやはりアメリカに強い衝撃を受けた思い出の曲で、写真家の作品にも登場していますね。
英語の先生が国内発売前のアメリカ原盤を米軍基地内のPXで入手し、授業で訳を交えて聞かせてくれました。
国内の流行歌のそのほとんどが恋愛物で占められていた時代に出会い、その詞に完全ノックアウトされました。
サウンド・オブ・サイレンス / サイモン&ガーファンクル
The Sound of Silence / Simon & Garfunkel (1965)
その後、大ヒット映画「卒業」の挿入曲として、この曲も大ヒット。
意外にもその詞が難解だとして、今でも語り継がれているようです。
筆者自身は英語の先生が訳してくれたように、Neon Godの一言が全てを表していると思っているのですが・・・。
タイトルも、作者が現代文明に対置しての数多くの名も無き者たちの無言の声に共感・代弁しての命名だと・・・。
そう言えば、写真家アベドンもまた当時の国内重鎮の写真家達から、ただデカいだけで難解だとの声もありました。
見方・感じ方、捉え方は人それぞれなんだと思いました。まあ、それが世界・文化・人生の妙味でもありますが・・・。
By 講師T