アトリエ・マイルストンブログ

2015年3月29日日曜日

AYさんの白描版画・誕生

日曜日・晴れ のち 雨
都心をはじめ、周囲のあちこちから桜の開花情報が届いています。
市内近隣でも開花が見られますが、アトリエ周辺ではもう一山です。

前回から新作を開始したAYさん、今日はその2日目です。
今日は前回のエッチングにアクアチントを施す予定でしたが、急遽 計画を変更。
描線の良さを活かし、最小限のドライポイントを加え、試摺りを行うことにしました。

ドライポイント描刻中。           さて、その結果は。

AYさんの新作銅版画「ボッティチェリの部分模写」が2種 摺り上がりました。
ドライポイントの加筆箇所は主に目と眉と唇で、素晴らしい効果となりました。
左は清摺り(ストレート摺り)で、清楚な線描による形象が素敵です。
右は銅板画面のみに和紙の雁皮紙をノリ張りして、摺り上げました。

雁皮摺りは、水やノリを使用したことによりインク描線に微妙な滲みが生じ、不思議な雰囲気が醸し出されました。
両者共に「白描(はくびょう)画」と呼ばれる古来の描法の美しさを伴ったオリジナリティー豊かな作品となりました。
次回もアクアチントは延期にして、この線刻画の雁皮摺りのバリエーション摺りを行うことになりました。楽しみです。

白描画とは、色や調子を伴わない線描のみで成立する東洋伝統の絵画技法・ジャンルです。
白描画の主な代表作には「国宝・鳥獣戯画」や「重文・源氏物語絵詞などの名品があります。

版画工房・アトリエ冥利に尽きる秀作・銅版画の誕生です。