アトリエ・マイルストンブログ

2016年2月15日月曜日

永遠のロング・ヒット光琳梅

月曜日・曇り
夕刻より降雪(厚木では今冬初の積雪)

「名作美術館(その159)」
「デイリー・ギャラリー(その32)」
合体編:「光琳梅(こうりんうめ)」

尾形光琳 筆、国宝・「紅白梅図屏風」は、昨年、当コーナーで紹介済みの人類の至宝です。
当ブログに於いては、
美術館などで展示・保管されて後世に引き継いでゆく貴重な美術品を「名作美術館」で紹介。
一方の「デイリー・ギャラリー」では、日常使いで実用品としての「用の美」を紹介してきました。
しかし、
今回の国宝、考えてみれば、元々は実用品。屏風と言う名の衝立(ついたて)、間仕切りです。
そこで、今回は「名作B」と「デイリーG」の合体判と言うことにして当コーナーを組み立てました。
しかも、
光琳が創作したと言っても過言ではない「梅の花」と言うデザインのみに焦点を当ててみました。
輪郭と単純化された花弁のみの「梅の花」、我が国の伝統的意匠として、現代に至っています。


極めてシンプルで潔く、かつ愛らしい光琳の梅(紅白梅図、部分拡大図)

その極めてシンプルな形象、日常のあらゆる方面で人気を博し、工芸品や染織など、様々な用途に登場。
その形から来るふくよかで柔らかい、やさしい温かな存在・雰囲気を味わって下さい。

左:襖などに用いられるカラカミ(木版)。  右:文衣(ふみころも)にあしらわれた梅。

着物柄の梅の花。

左:梅がモチーフとなった家紋の一部。   右:光琳の実弟・陶芸家、乾山の茶碗


春と言えば「桜」。花見の王道は何と言っても桜ですが、それも江戸時代以降の行事とのこと。
それ以前の奈良時代などでは「花見」と言えば、梅を指していることの方が多かったとのこと。
冬枯れの中、先陣を切って里に花咲く可憐な紅白の姿、南国生まれの筆者にも印象的でした。
寒さに負けじと冬空に挑むような鋭い樹形や、真逆の円やかな花びらに春の力強さを感じました。

集合植生され密生する桜の花々とはまた異なった趣のめでたき紅白の花々、もっと注目されると良いですね。
(右の白梅は、七沢森林公園・虹の架け橋前にて撮影。)

* * *

「ミュージック・ギャラリー(その188):心温まり唄ー2」

当コーナー、上の「光琳梅」にちなみ、梅に関連した邦楽を探してみましたが見つかりません。
「桜」なら多いのですが。ならば、この時節ならではの楽曲などをと思い、色々と検索しました。
例えば「名残り雪」等々・・・。でも、何だか「光琳梅」の温かみからは離れてしまいます。
そんな悩ましいネット・サーフ中に出現。これに決めました。
この季節も「梅」も登場はしませんが、心温まる名曲です。
詞の中の「布」も、「光琳梅」同様に心を暖めてくれます。

「糸」、中島みゆき(作詞作曲・歌)(1998年作品)

(一度・削除されましたが、再々度ドロップしました。)
動画映像のライブの時期は、原典投稿にも記載はなく不明です。奇才・女性歌手の微笑みが眩しいですね。
動画、非オフィシャルなので、すぐに削除されてしまうかもしれませんが、中島みゆきの世界、ご堪能ください。



これから里の春を賑わしてゆく「梅、桃、桜」、その先鋒たる「梅」が春の訪れを告げています。
「三寒四温」の熟語が間近になりつつあり、気もそぞろ。
山里の梅、人里の「光琳梅」に囲まれていることに感謝。

By 講師T