アトリエ・マイルストンブログ

2018年11月26日月曜日

疾風怒濤のマーチング・バンド

月曜日・晴れ・小春日和
アトリエ定休日

今回もまた音楽ブログとなってしまいました。
ご容赦

恒例となった

「出張ミュージック・ギャラリー(その339)」


「疾風怒濤のマーチング・バンド:吹奏楽の新地平線」


当コーナー、前回まで5回に渡り「京都橘高校吹奏楽部」の楽しくも美しい雄姿を取り上げてきました。
その最終回・末尾にて、筆者の故郷沖縄の西原高校マーチング・バンドにも言及させていただきました。
今回はその付録特集としてその活躍の一端を紹介したいと考え、以下の動画4編をYouTubeよりお借りしました。
またまた「贔屓の引き倒し」となりそうです。
(*^-^*)

日頃はマーチング等にご興味のない方々にも是非ご覧になって、高校生たちの類まれな能力を誤認識下さい。

彼らのライブ・パフォーマンス、最近の当コーナーで使い過ぎ感のある言葉ですが、これまた絶句です。
その音量・音圧・音質、正に至高の響きで、高校生の持つ可能性の頂点の一つとでも言えるでしょう。
通常において、中学生よりは高校生、そして高校生よりは大学生の方がレベルは上だと思うものです。
しかしその認識は浅はかで、またアマチュアよりはプロの方がやはり上だと考えている方々がいます。
しかしながら、その認識・概念もまた軽率で浅いものと言わざるを得ません。
彼らの表出する怒濤・至高のサウンドは、学年や年齢、またプロやアマの違いを遥かに超えた存在です。
高校の三年間、公立校で普通に授業を受け、その上での部活の中で産み出されるとは正に驚異的です。
金管隊(特にトランペット隊)の個々の音量はもの凄く、その倍音豊かな音色が集まると神がかりです。
5~60人ほどの中規模の編成ながら、その圧倒的なパワーはまるでフルの大人数・交響楽団のようです。
フルパワーで楽器を共鳴させることで発生する豊かな倍音が、至高のアンサンブルを生みだしています。

まずはオランダで四年に一度開催される世界規模の「世界音楽コンクール」からの映像です。
西原高校は日本代表として1997年の初出場以来、六回連続の選出・出場を果たしています。
そして毎回優秀な成績を修め、最高賞も何度(後日調べる予定)か受賞しているとのことです。
厳格な審査員や耳の超えた聴衆を前に見事な演奏・演技をし、観客総立ちの絶賛を浴びています。
( 太鼓手の一人が転倒のアクシデントがあり、その分 減点されたにも関わらず、最高賞を受賞。)
まずは御覧(お聞き)ください。正統派マーチング・バンドとしての彼らを。

日本代表・沖縄県立・西原高等学校マーチング・バンドによるパフォーマンスの一部、世界音楽大会(オランダ)
Nishihara High School Marching Band ( Okinawa, They are The Champion of Japan ),
at " World Music Competition "  in Holland 2005
注:動画・画面内の線上YouTubeをクリックの上、再生してください。
Please click the line in image for watching

観客総立ちの大喝采を浴びた彼ら、動画ご覧のように身体は小さくとも、そのミュージシャンシップと音量は絶大です。
出音が四方八方に拡散されてしまう屋外において、これだけの密度でソリッドな音を響かせているのは正に驚異的です。
吹奏楽器や各種打楽器には不利・不適当な雨(鳴りが押さえられてしまうため)の中での彼らの実直な熱演、感動的です。
個々の出音が大きく、全体が一つに融合・増幅された、例えればあの出雲大社の大しめ縄のような圧倒的な存在感です。
この年、
金メダル特別賞と共に、最高賞の"Best International Award "も受賞したとのことです。
2曲目は沖縄の地元フォークソング「えんどうの花」と言う曲で、カラーガード隊の女子らによって合唱されています。
西原高校の彼ら、他の動画(この前編)でも沖縄音楽をふんだんに取り入れていて、筆者的には感動してしまいます。
他府県の吹奏楽部に比べ、男子部員が多いのも彼らの特徴で、筆者の恩師・前任者O先生の魂が乗り移ったかのようです。
( ちなみに筆者は早期脱落者でしたが、その結果、ライブなどロックバンド活動を充分に堪能することが出来ました。)
退場場面で全員を迎えた部長(指揮者)らしき人物が、転倒した(5分半過ぎ)太鼓手を慰めに近寄るシーンも心温まります。
「ドンマイ・ドンマイ、アッセ 気にするなあ~!それよか 良くリカバーしたねえ~!凄いさあ~、上等上等~」
かな?


さて正統的マーチングの後は、彼らの芸術的な側面の演技・演奏の登場です。
彼らの昨今の演技は、スペインのフラメンコ音楽・舞踊などに触発された構成となっています。
画質・録音はあまり良くありませんが、彼らの圧倒的な技量・演技、続けて3編 ご堪能下さい。
( もし可能であれば、外部スピーカーまたはヘッドフォンご利用下さい。正に疾風怒濤・雷鳴です。)

沖縄県立・西原高校マーチング・バンドによるエキシビション(2000年)
Nishihara High school Marching Band ( Okinawa Japan )," 2000 National Chanpion ship Show "

凄まじいほどの音圧エネルギー、生で体験出来たら きっとオシッコちびっていた(失礼、失禁)かもしれません。


沖縄県立・西原高校マーチング・バンド、「ガリレオ(容疑者Xを探せ)」於:スーパー・マーチング(2008年)
"Theme " Galileo " 14th. Super Marcing Show In Japan 2008
注:こちらもまた画面内、線上YouTubeをクリックの上、再現して下さい。
Please click the line in the image for watching one more again

もう最上級の名演です!
天地創造、はたまたドームスデイかと思わせる大音響の洪水、こんなプロ集団、国内外のどこにも存在しません。
N響?東京フィル?無理(お腹出っ張りのベテランじゃ)!、ダンスはまあ可能でも仲間に凄腕バンドなしで無理!
メタリックなラッパの響きを最大限に活かしつつ、全てが混じり合うと芳醇な響きや轟きに変貌しています。
生音だけが原則のマーチング、7分過ぎのサイレン状の上昇下降音は一体どのように出しているのでしょうか?
天空を切り裂いて降り注いでくる天上界のような音響、正に魔法(マジック)のような Amazing Band です。


沖縄県立・西原高校マーチング・バンド、「ジョーカー」、於:日本マーチング・バンド全国大会
Nishihara High School Marching Band " JOKER ", JMBA Championship  2015

もう立つ鳥肌(関西方面ではサブイボ)が幾らあっても足りないくらいのチョー極上の音場・演舞です。
最後の部分の4ビート・ジャズや重たいシャッフル・ビート等は、プロのロック・バンドやオケを陵駕しています。
疾風怒濤の圧巻マーチング・パフォーマンス、その表現力の饒舌さは言葉が要らないほど素晴らしく圧倒的です。
また迫力だけではなく、中間部(3~4分頃)のハーモニーはどこまでも柔らかで美しく天上界からの調べのようです。
彼らの編成、全編を通じて木管隊(クラリネット等)の姿が少数ですが、カラーガード隊に回っているのかも。
まるで新体操の集団演技のようなそのカラーガード隊、高難度な技で手具の落下もありましたが、見事です。
彼女らの演舞、プロ顔負けの素晴らしさで、しなやかな肢体が造り出す動きは演奏を更に引き立てています。
これだけ圧倒的な渾身のパフォーマンス、そのスピリットはストレートに人々の心に訴えかけてきます。

そんな彼ら、
国内の大手マスコミが報道しないこともあって、彼らの知名度は著しく低いものですが、正に珠玉の名演です。
( 筆者の推測ですが、吹奏連盟の方からアマチュアゆえの公平性が云々・・・等と言うお達しがあるのかも )

いかがだったでしょうか? これだけハイテンション&ハイレベルなパフォーマンス、プロ界にも存在しません。
聞く側にも活力やエネルギーがないと、最後まで聞けないかもしれませんが、ご堪能いただけたのなら幸いです。
彼らの表現力豊かな超高校級の極上熱演、お気に入られた方は口コミやSNS等で応援・宣伝してあげて下さい。
彼ら、日本代表で渡欧する際の楽器運搬費等の費用が、PTA募金等だけでは足りず、一般にも呼びかけています。
沖縄県も基地交付金を使いきれずに減額されては国に憤っていますが、こう言う時にこそ利用すれば良いのです。

西原高校マーチング・バンドが更なる至高の名演を重ね、それに準じた名声が得られることを切望してやみません。
我が国が世界に誇るべき宝物の一つなのですから。

もっと紹介したい動画 数多くあれど、一応 美術教室のブログ、
これ以上(もうとっくにやり過ぎ?)は涙を呑みつつ我慢して、
筆者による一連の「贔屓の引き倒し」特集、これにて御開き!!!


「 最後に:吹奏楽・筆者寸感 」

さて筆者、最後に門外漢ながら高校生の吹奏楽部のコンクール課題曲について、少々私見を記させていただきます。
我が国の吹奏楽・座奏のコンクール、技術的には高度にも関わらず、その音楽は人々の琴線には触れないようです。
何故なら昨今のコンクール課題曲の多くが、現代音楽崩れ(そのもの?)のような楽曲が主だった風潮に起因しています。
現代音楽の全てを否定する気は毛頭ありませんが、高校生の瑞々しい感性には全く響かないような難解曲ばかりです。
その構成やアンサンブルやハーモニーも決して美しくも劇的でもなく、ましてや心地よいものや楽しいものでもなく、
むしろその逆をこそ唯一のアイデンティティーとして主張するような頭でっかちな曲が氾濫しているように感じます。
課題曲の多くが、まるでホラー映画のBGMのような不気味さで、器楽曲を合奏する楽しさは微塵も感じられません。
作曲家がこれでもかと言わんばかりの変則拍子や不協和音をやたら取り入れ、自身の知識を自慢しているかのようです。

吹奏連盟の課題曲・選定基準をはじめ、重箱の隅を針で突くような減点審査等も改めた方が良いと個人的には思います。
またコンクール成績上位のバンド、欠点無しの秀才集団のようで面白味や情熱に欠け、機械的で退屈極まりなく感じます。
生意気なようですが、本来、技術や技巧は最終目的ではなく、心や抒情や精神を表現する一手段に過ぎないのですから。
それらはまるで文法の正否ばかりを気にして、英会話が出来ない学校教育と共通している問題のように見受けられます。
落とし穴やハードル有りの障害物競争を煽るより、表現力を高める方が言語も国境をも超え得る人間性を造り出せます。
「木を見て森を見ず」「鹿を追う者、山を見ず」「仏作って魂入れず」等、これではまるで本末転倒「愚の骨頂」です。
ジブリ作品のような心に残る課題曲にて生徒たちの感受性を更に高め、一般の人々をも魅了する楽曲の登場を望みます。
また学校や指導者の名誉欲のためにのみ、厳しい部活を推し進めている学校も多数存在していると聞き及んでいます。
本来は部活する生徒たちが主体であるはずで、指導する側が彼らを単なる駒扱いをしているように見えてしまいます。
願わくば、
高校生活3年間の部活が楽しく充実したもので、その結果が聞く側にも感銘を与えるものであることを外野ながら望みます。 

ダンスと笑顔が信条の京都橘高校や、スイング・ジャズを満喫する兵庫の高砂高校等の音楽が一般に人々の耳や目に触れ、
それこそ文字通り「音(が)楽(しい)」の伝道師となって、国内各地や海外でこれまで以上に活躍してゆくと良いと思います。
そんな中に、このパワフルで芸術性高い西原高校のサウンドも混じってゆくと更に良い時代が到来するものと信じています。
エンターテインメントの京都橘や、ノリノリ・スィングの高砂高校や、圧倒的技量の西原高校の大活躍をお祈りしています。
そこに我が国の自閉症的吹奏楽に新しい地平線が拓け、やがて多くの人々の絶大な支持を得られる日々が来ることでしょう。
そこには文字通りの「音楽」の世界があり、その結果が人々に豊かで大きな感動の幸福をいつの日か 導いてくれるのです。

京都・橘高校吹奏楽部、兵庫・高砂高校ジャズ・バンド部、沖縄・西原高校マーチング・バンド部の皆様のご多幸をお祈りします。
大大大!感謝です。

(*^-^*)
_(._.)_


By 講師T ( 記:当真 英樹 )

( またまた取りとめのない乱文となってしまいました。が、取りあえずアップさせていただきました。ご容赦 )
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