アトリエ・マイルストンブログ

2014年9月8日月曜日

シャルダンの静物画・二題

月曜日・曇り  雨
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「名作美術館(その88)」

9月に入っても雨続き。気温も下がり、急に秋めいてきました。
と言うことで、残念ながら夏特集も前回をもって自然消滅。今回は、これ。

「ロココに生まれた無骨・静物画:シャルダン」

銀のゴブレットと林檎、1760年、41 x 33cm、ルーブル美術館

鍋と卵のある静物、1734年、16.5 x 20.5cm

ジャン・シメオン・シャルダン ( Jean Baptiste Simeon Chardin, 1699~1779 )

シャルダンはパリ生まれのフランス人画家。上記作品は、絵画が王侯貴族などの物だった頃に描かれた静物画。
その当時は華麗極まるロココ様式隆盛の頃で、その対極をなすような庶民の日常生活の片隅を描いた作品です。
装飾などとは無縁な庶民の台所にある実用本位な食台や食器などを、愛情深く、かつ丹念に描き込んでいます。
画家はおそらく17世紀のオランダ・フランドルで盛んになった写実的静物画の影響を受けたものと推測されます。
また17世紀スペインの写実画家コタンに代表されるボデゴン(厨房画)の影響も色濃く受けているように思います。

いずれにせよ、プラスチックなどが氾濫する現代の日常生活にはない無骨ながらも確固とした存在感が見事です。
(立ち止まって、自らの網膜で)「見る」こと、「描く(真似る)」ことの意味を、今一度 再考させられる絵画作品です。

* * *

「ミュージック・ギャラリー(その111)」

当コーナー、シャルダンのパリ繋がりと言う事で、今回はこれ、

「パリの空の下」 / イベット・ホーナー(女性アコーディオン奏者)
Under the sky of Paris ( Sous le ciel de Paris ) / Yvette Horner

上述しましたが、今月に入ってすっかり秋めいてきました。
厳しい残暑も嫌ですが、少し寂しい気持ちにもなりました。
ステレオタイプ的で何なんですが、コーヒーの香ばしさとアコーディオンの響きが心地良くもなります。
赤トンボが浮遊・乱舞する背景の空にもあの力強い入道雲は消え、秋の気配・情緒が漂っています。
大気も大陸生まれに入れ替わり始め、故郷の南島が少し遠のいたような気がする今日この頃です。

By 講師T