アトリエ・マイルストンブログ

2012年1月3日火曜日

名作美術館ー2

1月3日
今日も、元日のモネ作「印象 日の出」に続き、名作をご紹介します。

ピーテル(ピーター)・ブリューゲル作 「雪中の狩人(1月)」 (1565年) ウィーン美術史美術館 蔵

これまた言わずと知れた人類の財産的名作です。

雪の降らないオキナワ生まれの私(講師T)が小学生の時、図工の教科書で見て大感動したダントツNo,1の絵です。
前景の丘には狩猟から戻ってきた猟犬を伴った男達、その彼らの進む先の前方・下方には小走りの小さな人影達。
視線を中景へと導くスベスベの青っぽい道路は、よくよく見れば凍った川と水車!?て事はあのアーチ門は橋!?
しかもしかも!シルエットの人々もよくよく見ればスケートまでやっている!遠景の鋭い岩山!手前の中空には鳥!
「ツ・ラ・ラッ!?」 満州とシベリアの冬を知る父が右端の水車の半円を指して、その言葉の意味を教えてくれました。

圧倒的な冬のパノラマ光景を前に様々な物語が次から次へと自動的に増殖し、イメージとストーリーが連続合体噴射。
常夏 島育ちの脳天気 小学生の私はいつまでも見飽きることなく、画面の隅々まで時を忘れて堪能し尽くしたものです。
男達の白い吐息、犬達の瞳、薪の発する音、暖かな家庭・・・、ここには自然と人間の営みの全てが内包されています。
戦争・兵器・プラモ・マニアの無知・無恥な小学生の私に、はじめて「絵」の持つ力を教えてくれた不朽の名作です。

後年、美術を志し、その制作年を知って更に驚愕しました。
数々の近代や現代の作品群を凌駕して子供の感性に訴える作品を生み出した16世紀の意味。
フランドル(現ベルギー)の画家の創造した絵画世界の魅力と普遍性にただ脱帽するのみです。

ちなみに講師Mもまた同時期に、教科書で最も好きな絵ベスト1だったとのことです。
歴史の時空を超越してきただけあって、見飽きるどころか更なる感動を覚える今日この頃です。
( 画面内、クリックすると拡大画像が得られます。)