アトリエ・マイルストンブログ

2012年2月29日水曜日

雪休み

雪に見舞われた水曜日、予定の授業がキャンセルとなり、アトリエは連日のお休みです。

雪雲で上部が隠れた今日の大山(の山裾)。


よって、連日の「名作美術館」(その13)をお届けします。
今日もボナールの作品を2点、紹介します。
(画面内クリックすると、拡大画像が得られます。)


タイトル不詳

カゴの中にブドウやアプリコットらしき果実が入った静物画です。
伝統的な細部を伴った写実的描法は控えられ、代わりに豊潤な色彩と光が画面中に溢れています。
平面的・装飾的な画面作りを好んだボナールらしい作品です。


Pierre Bonnard  " Young Woman In The Garden "  1921

戸外の逆光と日陰の中で、片肘をついた女性がこちら側に視線を向けている様子が描かれています。
でも周囲のテーブルクロスのストライプ模様(平面)や果実などで、女性の存在(立体)は何故だか希薄です。
モデルとなったスミレ色のブラウス姿の女性は、後に妻となるボナール最愛の人です。
「庭の若い女性」とのタイトルは単なる物理的現象で、その心象・心証は別の言葉だと思われます。
シャイなボナールらしい間接的なテーマ提示のある作品ではないでしょうか。

両作品に共通する日常の1コマは、幸福の象徴でもある「黄色」がその支配色となっています。
それこそが、画家ボナールの主題なのです。


今年の今日は、閏(うるう)年の29日。
その今年こそ色々な意味で、潤う年にもなってもらいたいものです。

By 講師T