月曜日・晴れ のち 曇り
「海の日」休日。アトリエ定休日。
恒例の「名作美術館(その84)」を、お届けします。
今回は時節柄とは異なる作品の紹介です。
当コーナーでも過去に紹介した筆者の大好きな画家パスキンは、エコール・ド・パリに生きた夭折の画家です。
女性の妖艶さを描かせたら右に出る者はいないような画家の、何の変哲もない油彩による静物画の小品です。
ジュール・パスキン作 「静物」
Jules Paskin " Still Life "
かなりきつい俯角で構成された画面、その中心となる果物や花はむしろ主題の位置を確保してはいません。
むしろ散在する他の果物や葉と同等の色斑の一部として、無造作に描かれていると言っても良いでしょう。
それはあたかもスナップ写真の中のミス・ショットのピンボケや位置ブレ写真のような感覚にも似ています。
しかし筆致や色班はあくまでも軽くリズミカルで、油絵具をドライ・ブラッシュ気味に画布に乗せて絶妙です。
薄幸の画家がこの画布に向かった時の人生的状況は知りませんが、描く喜びに満ちていると推測されます。
* * *
ブルガリア出身のパスキンが居を定めたフランスはパリ繋がりで、この曲を選びました。
ブルガリア出身のパスキンが居を定めたフランスはパリ繋がりで、この曲を選びました。
「バラ色の人生」 / ミシェル・ルグラン
La Vie en Rose / Michel Legrand & His Orchestra
画家パスキンは鬱病を患って数々の問題を抱えていたらしいのですが、画家の作品に苦渋の影はありません。
「バラ色の人生」を歌った希代の歌手エディット・ピアフもまた私生活においては共通の悩みを抱えていたようです。
でも二人のアーチストの残した数々の作品には、それでも人生はバラ色だったと私達に語りかけてくるようです。
By 講師T