アトリエ・マイルストンブログ

2013年12月31日火曜日

松本竣介の「ニコライ堂」

火曜日・晴れ
大晦日

「名作美術館(その68)」

今回も松本竣介の作品を紹介します。
昨日の「Y(横浜)市の橋」に続いて、今日は東京は神田駿河台の「ニコライ堂」を描いた作品です。
画家がモチーフに選んだのは、ビザンチン様式のロシア正教会の異国情緒タップリな建造物です。
関東大震災や東京空襲等、幾多の災害をも免れ、現在、重要文化財に指定されている建物です。
画題や制作年など詳細データ不明ですが、画家の才気による情緒溢れるその趣をお楽しみ下さい。

ニコライ堂

左:ニコライ堂と聖橋             右:塔のある風景
                          右:ニコライ堂の横の道
ニコライ堂の素描2点(右図は上の本画のための習作スケッチのようです)

上7作品はネット上にて公開されている画家が描いたニコライ堂で、あらゆる方向・描法でアプローチしています。
最上段のニコライ堂は沿道の街路樹を大きく取り上げ、それに沿って神田川(?)とおぼしき光の帯が見えます。
どの作品も画家・松本竣介の感性により捉えられた、当時(昭和17年頃)の東京の雰囲気が堪能できます。
時は戦時中、暖かくもまた同時に冷たく張り詰めた無彩色の空気感が、画家の心情を物語っているようです。

( 画面内クリックすると、拡大画像が得られます。)

*

「(ニコライ堂(神田)の思い出」

筆者・高校を卒業し上京した年、故郷オキナワとは全く違う情緒が面白く、都心を良く散歩したものです。
一足先に東京暮らしをしていた兄に勧められて神田の街に足を踏み入れ、その魅力に取りつかれました。
古書街、楽器街、老舗の画材店等、見るもの全て新鮮で、ニコライ堂や聖橋の大造形にも出会いました。
戦禍でほとんどの建物を失った小さな島育ちの筆者の目には眩しく魅力的で、また違和感も持ちました。
昭和を生き抜いてきた美しい建造物が、これからも東京の街角を永遠に彩っていってもらいたいものです。

* * *

「ミュージック・ギャラリー(その82)」

せわしい年の瀬のニュースの中に、ミュージシャン大滝詠一氏の訃報(30日逝去)が飛び込んできました。
筆者の妻共々、日本語ロックの探求・草分けともなったバンド、はっぴえんど以来のファンなだけに残念です。
そこで大晦日に予定していた当コーナーの楽曲を取りやめ、その追悼として急遽この曲を拝借・貼りました。
ご本人(故人)の数々の明るい楽曲は今回似合わないと判断し、作曲をてがけたこの名曲をお届けします。

小林 旭 「熱き心に」 作詞:阿久悠、作曲:大滝詠一(1985年)
岡林信康、日比谷野外音楽堂、福生の米軍ハウス、アメリカン・ポップス&ジューク・ボックス等々、
筆者との接点も少々ありました。
日本のポップスを築いた偉大なミュージシャンズ・ミュージシャン、大滝詠一氏の冥福をお祈りいたします。

By 講師T