アトリエ・マイルストンブログ

2014年2月3日月曜日

ピート・シーガー、逝く

月曜日・晴れ・節分
4月上旬並みの暖かさに恵まれました。

アトリエ定休日
先日、アメリカのフォーク・シンガー、ピート・シーガーの訃報(享年94才)に接しました。
今日は、そのピート・シーガーにちなんだ特集をお届けします。

「名作美術館(その72)」

今回は、昨年5月13日の当コーナーで取り上げた「人間画家ベン・シャーン」の2回目です。
20世紀アメリカの気骨の社会派画家、ベン・シャーンの簡素で力強い表現をご堪能下さい。


左:We shall over come. ウイ・シャル・オーバー・カム、公民権運動のキーワード・象徴「我らは必ず勝利する」です。
有名な和訳タイトルですが、オーバー・カムを直訳すれば「乗り越えられる」で、こちらの方が筆者にはフィットします。
中:You shall not stand idly by...: 筆者の稚拙・意訳だと「放っておくべきではない」と言うような意味だと思います。
右:Rev. Martin Luther King 、故マーティン・ルーサー・キング牧師。60年代の公民権運動の代表的な指導者です。

ベン・シャーン独特の竹ペンで描いたような野太い線によるシンプルな形象が、とてもエネルギッシュで熱いですね。
「反戦」「平等」など、既製社会の巨大悪と戦った画家のグラフィック・アート。筆者も若い頃、痛く刺激されました。

* * *

「ミュージック・ギャラリー(その87)」

ベン・シャーン初回の際のミュージック・ギャラリーでは、ボブ・ディランの反戦歌「風に吹かれて」を取り上げました。
今回の曲の元歌はスピリチュアル(霊歌)で、60年代、公民権運動を支援する象徴として世に広まり、歌われました。
当コーナーで取り上げた反戦歌「花はどこへ行った」「ターン・ターン・ターン」と共に並ぶピート・シーガーの代表曲です。

ピート・シーガー、「ウイ・シャル・オーバー・カム(我らは必ず勝利する)」
Pete Seeger ( 1919-2014), " We shall over come "

アメリカのみならず、世界中の若者に多大な影響を与えた偉大なる歌手の名曲です。
彼の存在ぬきには、ボブ・ディランもPPMもバーズも、ブルース・スプリングスティーンもいなかったかもしれません。
もちろんイギリスのビートルズやアイルランドのU2、今をときめくレディー・ガガさえもいなかったかもしれません。

「公民権運動」で打破目標だった人種差別、世界中の人々がその解消に努めました。
キング牧師、ネルソン・マンデラ、ボブ・シーガーをはじめ、多くの先人達がその撤廃に尽力してきました。
REST IN PEACE

日本国内で暮らしていると、良くわからないと言う人が多いかも知れません。
筆者の幼年時代において、我が故郷・復帰前のオキナワでも「人種差別」は複合・重層的にありました。
白人専用の海水浴場のフェンスには「Off Limits Colored & Dog(犬と有色人種は立入禁止」と記されていました。
米軍政統治時代、沖縄中部の基地の街コザ(現沖縄市)の飲食街も、白人街と黒人街にしっかり分かれていました。
地元沖縄のロック・バンドのミュージシャン達が野外フェスなどを催して、その垣根を少しずつ取り払っていきました。

「ドルのオキナワは遠くになりて、されど故郷沖縄は未だオキナワを背負い・・・」

By 講師T