アトリエ・マイルストンブログ

2013年2月11日月曜日

HTさんのヤマセミ銅版画

月曜日(3連休最終日)・晴れ 時々 曇天

多忙なHTさんが、祭日を利用して久々にやって来ました。
以前に描版・腐蝕済みのエッチングにドライポイントを加え、その試摺りを行います。

加圧操作中の様子

HTさんの銅版画(エッチング+ドライポイント)「やませみ」が、摺られました。
自らが撮影したクローズアップ写真を基に、ヤマセミのプロフィールが繊細なタッチで現れました。
逆毛だった頭頂部の冠毛やクチバシが、鋭い眼光と共に急降下ハンターの特質を表しています。

今回の清摺り(ストレート摺り)を基に、次回からの再描刻と摺り具合が決定されます。
次回の来訪が楽しみです。

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「 名作美術館(その42) 」

アンドリュー・ワイエス、「泉からの引き水」 テンペラ画 (1967年)

前回・前々回に続いて、現代アメリカを代表するリアリズムの画家、ワイエスの作品を紹介します。
牧場の家畜舎または納屋と思われる簡素な室内に引かれた石造りの水溜が描かれた作品です。
その漆喰壁にはブリキのバケツ、戸外には牛の姿、冬枯れ色の草原には所々に雪渓が見えます。
何の変哲も飾りもない日常の素朴な空間が、画家の目で冷徹かつ愛情豊かに捉えられています。
テンペラ画独特の半光沢・半厚口・低彩度の乾いた質感が、米国の風土を見事に再現しています。

今回は、同作品の画像2種と、併せてその部分拡大図、そのドローイング(デッサン)、現場実写映像を紹介します。
いずれの映像もネット上からの検索・拝借です。

Andrew Wyeth " Spring Fed "  1967

上の画像は、画質データが最も大きく、細部再現に於いて拡大に向いています。
下図はデータはそれほど大きくありませんが、階調や色調表現に優れています。


出典元に詳しい説明がなかったのですが、本制作前のスケッチ(デッサン)だと思われます。

本制作・テンペラ画の部分拡大図。
リアルな素晴らしい質感描写です。

ワイエスがスケッチした現場の写真(右)です。
リアリズム絵画が、写真のような単なるリアルさでは無いことが端的に顕れた比較画像です。

ワイエスは、アメリカの美術界では異端児的な存在で、商業主義的な美術業界に於いては無視あるいは軽視されていました。
マスメディアが作り出す情報や潮流には決して乗ることのない人間個人の確固とした信念と眼差しがここには存在しています。
一個人の目と手が生み出した普遍的な美の世界が、21世紀の今日でも世界中の人々から愛され続ける理由なのでしょう。
( 画面内クリックすると、拡大画像が得られます。ワイエスの深淵にして静謐なる世界、じっくり お楽しみ下さい。)

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「 ミュージック・ギャラリー(その30):冬唄 」

ハロー・ドーリー / ルイ・アームストロング (1964年)

前回、春唄としてサラ・ボーンを取り上げましたが、「寒の戻り」の今日は、再びの冬唄です。
ミュージカルの主題歌で、サッチモ(ルイの愛称でsuch mouse.デカ口の意味)の名唱・名演が光ります。
季節としての冬の歌ではありませんが、前々回の「帰らざる河」同様、心温まる曲として取り上げました。
サッチモ、本コーナーで取り上げるのは、一昨年大晦日のWhat a wonderful worldに次いで2回目です。
( こちらもチョーお勧めの名曲(訳詞付き)です。興味のある方は是非聞いて下さい。)
今回、本動画にはない日本語訳詞の方も、ネット上から拝借して下の方へ貼りました。
人間味豊かで滋味溢れるサッチモのダミ声とコルネット(トランペットの1種)逸品です。
対訳(1行目のみ筆者改訳)と共に、どうぞ、お楽しみ下さい。

Hello Dolly / Louis Armstrong
1964(Jerry Herman) Matt Lemmler

やあ、ドーリー、僕(ルイス)だよ、ドーリー
君がこの古巣に戻って来てくれて嬉しいよ
素敵な格好をしてるね、言っても良いかな
君は輝いてる、極めてる、最強の存在だよ
まるでこの部屋が揺れているように感じる
バンドの演奏に合わせてスイングしている
これは懐かしい曲、君が昔好きだった曲さ
帽子を脱いで、どこか空いてる席に座って
ドーリー、もうここから出ていかないでね


時代は、第一次ビートルズ旋風が世界中で吹き始めた頃。
小学生の筆者はビートルズ等をバックに、巷で流行っていたジュークボックスで、モンキー・ダンスを楽しんでいました。
その頃良く聞いていたレコードは、ピーター、ポール&マリーの「パフ」や「500マイル」や「花はどこへ行った」等でした。
今を去ること半世紀、「光陰矢の如し」つくづく・・・。
By 講師T