アトリエ・マイルストンブログ

2013年1月1日火曜日

モネ尽くしのブログ始め

2013年1月1日・元旦

穏やかな快晴に恵まれた新年の幕開けです。

私共は、恥ずかしながら毎年恒例の遅ればせながらの年賀状作りの1日です。
賀状でのご挨拶、遅れてしまいますが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。 


さて早速ですが、恒例の名作美術館(その38)を、お届けします。

昨年のブログのお正月第1弾も、この「印象・日の出」で始めました。
今年も又やはりこの作品から、新年の幕を開けたいと思っています。


クロード・モネ 「印象・日の出」1872年
48x63cm、マルモッタン美術館蔵(パリ)

モネのこの一作とその名称で、世界の美術が全て変わったと言っても決して過言ではないほどの重要な作品です。
それまでの写実的な西洋美術を根底から覆すことにもなった革新的で記念碑的な一枚です。
それまでの写実的な西洋絵画は下地を茶褐色にして、階調=色調の図式で描いていました。
モネは、そんな写実的階調の呪縛から、輪郭や色彩や光や筆致を大きく解き放したのです。

当作品が現代まで続く美術の潮流を造り出した大元の源流と言っても、差し支えないでしょう。
モネにその契機・力を与えたのが、日本美術(浮世絵)だと言っても、また過言ではありません。
一人の画家が描いた1枚の「絵」、その「絵」がもたらした影響は果てしなく途方もなく絶大です。

もしモネがいなければ、浮世絵に遭遇しなかったら、この絵を描かなかったら、その名称を用いなかったら・・・。
セザンヌやゴッホも、ピカソやマチスも、現代に至るポロックやウォーホール等の画家達も存在しないのです。
もしタイム・マシンのようなムービーがあるとすれば、事の顛末や、その起承転結を是非見てみたいものです。


今回は初期の「印象・日の出」に加え、モネの作品をもう二作アップします。
但し、作品名・制作年等、詳細データは現時点では不明です。後日あらためて調べます。(ホントかな?)



一言で言えば、絵画的にも写真的にもピンボケです。
画面の中に、明確な輪郭線はどこにも存在しません。
左下~右上へと続く遠近法と背景の木立が奥行きを感じさせますが、細部は定かではありません。
が、花園や樹木や光の美しい色彩の斑紋が、画面の中で瑞々しいハーモニーを造り出しています。



この作品は、日本庭園に影響を受けてモネ自らが作った庭園の蓮池が描かれています。
晩年期に描かれたこの作品に至っては、もはや遠近感も重要視されず、池の水面が平面的に描かれています。
蓮の葉やその花の輪郭も判然とはしないほどのソフト・フォーカス(軟焦点)です。
唯一、水面に映る柳の枝垂れた葉が、シャープな対比で描かれているだけです。

モチーフ(対象物)は、注目されるものとしての意味を失い、画家のテーマの手段・足がかりとして存在しています。
その意味に於いては、近代絵画の父と言われるセザンヌの美学や方法論を予兆している作品と言えるでしょう。
また、後の時代に美術界に出現し席捲する抽象表現主義の画家達の予言的・先駆的な作品とも言えるでしょう。

モネのもたらした革新は美術界を大きく変え、いわゆる「美」の垣根を超越して、難解なものにまでなりました。
それゆえ、「私は(僕は)美術がよく分からない」との言葉をよく耳にします。
それは美術が「視覚や感性の芸術」から他の領域へ、その価値・解釈を拡大していったからに他なりません。
でも、モネのもたらしたことは、実は「目」と「感性」の自由な開放だったのだと思います。
だからこそ、モネの絵は数多の時代・流行を超越して、私達の目と心に直に飛び込んでくるのだと思います。

モネの開放した目と感性の芸術「美術」を、これからも日常の中で、気軽に楽しんでいきたいと思っています。


「ミュージック・ギャラリー(その22)」

お正月の今日は「モネ尽くし」と言うことで、動画もモネの作品集をアップしました。
曲は、当コーナー初のクラシック音楽の登場です。
ショパン、ピアノ協奏曲第一番「ロマンス、ラルゲット」。

前日のゴッホ同様、モネの作品のスライド・ショーです。
では、どうぞ。


今年も、描いて・作って、色々楽しみましょう。
本年もどうぞ宜しくお願いいたします。

アトリエ・マイルストン、当真英樹・万里子