アトリエ・マイルストンブログ

2013年11月25日月曜日

国宝・神護寺三像

月曜日・曇り のち 久々の雨
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恒例の 「名作美術館(その63)」 をお届けします。

今日は、美術の教科書でもお馴染みの、「 国宝・神護寺三像 : とりわけ 源頼朝像 」を取り上げました。

伝 源頼朝 像
絹本彩色 143 x 113cm  京都国立博物館

 伝 平重盛 像                    伝 藤原光能 像
143 x 112cm  京都国立博物館              143 x 112cm  東京国立博物館

京都・神護寺所有の国宝三像、共に作者不詳で、以前は似絵の名手・藤原隆信作とされていました。
しかし、その後の時代考証や研究で隆信没後の1205年(何と13世紀!)以降の作とされています。
また像主の方も、近年には頼朝が足利直議、重盛が足利尊氏、光能が足利義詮との新説もあります。
いずれにせよ、我が国を代表する中世肖像画の名品です。

冠・黒装束で上畳に座する三像、前後の模様は畳の縁(重盛像は剥離)で、手には笏(しゃく)を持っています。
筆者小学生の頃には仲間内でシャモジと言っていましたが、実際の使途は、裏に紙を貼ったメモ板との事です。
また同様に下半身中央部に見える長い布もフンドシだと思っていましたが、実は太刀の鞘部の平緒との事です。
足先には、バレリーナが履く トゥーシューズのような靴(聖徳太子像にもあります)も履いていて、興味深いです。
この三像、筆者の教科書上ではラクガキの格好の標的となって、丸メガネに巻きヒゲまで付け足されていました。

 源頼朝像、部分拡大図

とは言え、特にこの頼朝像は、子供心ながらも格別な威厳や風格が感じられ、脳裏の記憶室の中で異彩を放っていました。
この三像の魅力を真に理解したのは、成人後、版画の仕事で度々訪れた京都や東京の博物館で実物を見て以降の事です。
フランスの知日派文学者アンドレ・マルローも賞賛した人類の至宝、国内に於いてももっと評価されて然るべきだと思います。

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「ミュージック・ギャラリー(その78)」
兼:「森羅万象ギャラリー(その10)」
兼:「デイリー・ギャラリー(その16)」

今回も上の京都繋がりと言うことで、秋の美しい紅葉と琴の奏でる京の情緒・風情をお楽しみ下さい。


特別な事とは言え、デイリー(日常)・ギャラリーで京都を取り上げられる幸福を心より味わいたいと思います。

By 講師T