アトリエがお休みでしたので、恒例の名作美術館(その23)をお届けします。
今日は以前紹介したボナール同様、ナビ派のフランス人画家・エドゥアール・ヴイヤールの静物画4点をお届けします。
Left: " Vase of Flowers " (1903) Right: " Le Vase Bleu "
Left: " Bottle with flowers " (1890) Right: " Vase de Fleurs "
By JEAN EDOUARD VUILLARD ( 1868-1940 )
4作品に共通するモチーフとしては、テーブル上に花とガラス瓶または花瓶が描かれています。
構図(画面構成)としては極めて単純で、唯一 青い花瓶の作品が背後に鏡が配されています。
画家の見方・描法の共通点としては、「光」「筆致」「厚みのある白」の3点に集約されるでしょう。
それらの生み出す空気感や物質感は、油彩画の固有の魅力と言っても差し支えないものです。
これらの4作品は、少なくともヴイヤールの代表作と呼ぶにはふさわしくない小品かもしれません。
しかし、「たかが静物、されど静物」とでも言えるような、視覚の普遍的な不思議さに満ちています。
写真的写実性や時代の新旧とは無縁な、画家個人の感動と感性の小宇宙が静かに息づいています。
見て、見慣れているはずの視覚と外界が実はそうではない、と言うことをつくづくと思い知らされます。
(画面内クリックすると、拡大画像が得られます。)
By 講師T