金曜日、アトリエはお休みでした。
よって、代わりで恒例の名作美術館(その19)をお届けします。
今回は、近代アメリカ絵画の礎を築いた画家 ウィンスロー・ホーマーの作品です。
" Girl On the Bench "(1878) / Winslow Homer (1836~1910)
ご覧のように、丸太で作られた大きなベンチに座る少女が描かれた作品です。
大木の下にでも置かれていると思われるベンチは、大きな深い木陰で覆われています。
少女のスカート、それにベンチの一部や足元の緑には、木洩れ日の光が僅かにちらついています。
ネット上画像では判然とはしないかも知れませんが、この作品はれっきとした水彩画です。
前景の木洩れ日の光や背景の逆光は、おそらく不透明な白で後から加えられたものだろうと推測されます。
紙の粗目のエンボスを活かしたスピード感のある筆致が、風や光の粒子の揺らぎを見事に再現しています。
油彩画家ホーマーが水彩画と出会ったことが、アメリカ絵画がそのモダン性を獲得した大きな一歩だとさえ思えてきます。
本作は、欧州に学びながらも伝統的な絵画を超えた新大陸の画家ホーマーならではの瑞々しい感性が生み出した傑作です。
(画面クリックすると、拡大画像が得られます。)
By 講師T