アトリエ・マイルストンブログ

2012年6月14日木曜日

ドガの「三位一体」

 久々に晴れ渡った木曜日、アトリエはお休みでした。
恒例の名作美術館(その29)をお届けします。
今回もドガの作品・油彩画2点を紹介します。

" Dance School " ( 1837 )

" Dancer "

いずれの作品も、バレリーナの群像がカメラのスナップ・ショットのように描かれています。
上の「バレエ学校」では、左奥からの逆光気味の自然光がバレリーナ達を浮かび上がらせています。
一方下の「踊り子」では、右横からの人工照明がバレリーナの上体・肩の一部を照らし出しています。

画面の奥行きとスピード感には大きな違いがありますが、いずれも映画の1場面のような緊張感に包まれています。
構図も伝統的な安定感を排し、斬新な切り口で踊り子達の肢体の美しさとその動きを描写しています。

卓抜したデッサン力と色彩感覚、バレリーナ達の身体と動き、新感覚の写真や浮世絵の影響。正に三位一体です。

ギリシア・ローマ以来の伝統美の研鑽と同時に、新時代の感覚に感動する柔軟性が生み出したドガならでは傑作です。
「伝統と革新」「形態と色彩」「技術と感性」「西洋と東洋」「写真と絵画」等々・・・ドガから学べることは今でも多大です。
( 画面内クリックすると、拡大画像が得られます。)


バレエついでのブログ・フロク
「 遅ればせながらのエール 」

今年2月のローザンヌ国際バレエ・コンクールで優勝した厚木出身の菅井円加さんの今後の活躍を期待します。
ただ一言、感動しました。

By 講師T