アトリエ・マイルストンブログ

2012年3月13日火曜日

お休み日、美術館

火曜日、アトリエはお休みでした。
よって恒例の名作美術館、その14をお届けします。

今回はエコール・ド・パリを代表する画家の一人、イタリア人のアメデオ・モディリアーニの登場です。

Left :  Girl with Braids (1918)        Right : Young Girl in Beret  (1918)

Left :  Little Peasant (1918)                       Right : Young Peasant  (1918)

     By   AMEDEO MODGLIANI (1884~1920)

ご覧の通り、今日紹介する作品はいずれも同年に制作され、また男女とも同じモデルを描いた作品です。
左上は「三つ編み(お下げ)の少女」、右上は「ベレー帽の少女」とでも訳せば良いのでしょうか。
同様に、左下は「小さな農夫(小作人)」、右下は「若い農夫」とでも訳されるものと思います。

大好きな画家の一人、モジリアーニは名品揃いなので、何を始めに紹介しようかと迷いに迷いました。
が、今回はモデルの扱われ方・描かれ方に着眼点を絞って、上記の4作品を選んでみました。

上段の少女像は、その可憐な顔(又は目)そのものに画家の力が注がれています。
「お下げ髪」や「ベレー」等はあくまでも、その表情を引き立てる小道具に過ぎません。
その証に、着ている服には模様や刺繍やアクセサリーなどはなく、質素そのものです。
だからこそ、少女のあどけなく飾り気のない表情が画面を強く支配しているのです。

一方、下段の少年像の目には瞳が描かれていません。その代わりの手足が画面を力強く構築しています。
その手足を覗かせる衣服・手足がもたらすポーズが、少年の性格や生活振りを見る者に想像させるのです。
瞳の無い小さな目を描くことで、必要以上の限定的な性格描写を避けた画家の賢明な選択が造り上げた構図です。
だからこそ、質素そのもののプレーンな衣服や壁や椅子さえも、意味を持って活きてくるのです。

このコーナーで紹介したパスキンやボナールにも共通する感性による「画家の目」が、そこには存在しているのです。
油絵ならではのマッタリとしたコクのある色彩も魅力的で、いつまでも見飽きることはありません。
(画面内クリックすると、拡大画像が得られます。)
By 講師T