昨日に続き、今日もアトリエはお休みでした。
よって、今日もまた名作美術館(その15)をお届けします。
モディリアーニ(その2)
今日の副題は、「グレー(灰色)の威力と魅力」です。
Left : Gypsy Woman with Baby (1918) Right : Young Girl in a Striped Blouse (1917)
題名は、「赤子を抱いたジプシー女」と、「ストライプ・ブラウスの少女」とでも訳せば良いのでしょうか。
でも、左の女性の方が少女で、右の女性の方が比較的 大人びて見えるような気もしますが・・・。
題名の付け方はともかく、今日の2作品は共に若い女性がモデルの肖像画(ポートレイト)です。
抑制された色彩と 女性のおとなしい佇まいが、画面を静かな室内空間に仕立て上げています。
下地全体に施されたグレー(左は薄茶灰色、右は緑灰色)が、逆に女性の息吹を表現しています。
左図の女性では、生気を帯びた肌の橙色と衣服の白と赤が清楚さな雰囲気を醸し出しています。
また、両腕でしっかりと抱かれた赤子の厚着と暖色毛糸の帽子が、愛情深さの証しでもあります。
右図の女性は、背景同様の暗い色合いの衣服ですが、口元のルージュと頬の赤が効果的です。
女性の魅力やその体温を表現する赤色を際立たせている色こそ、周囲のグレーに他なりません。
モディリアーニの数々の作品を見る度に、多様なグレーの魅力にもまた引きずり込まれています。
モディリアーニの描くストレートで飾り気のない女性達の表情に、いつしか心が温もります。
(画面クリックすると、拡大画像が得られます。)
(画面クリックすると、拡大画像が得られます。)
注記:「ジプシー(仏語でジタン)」と言う言葉は差別的とのことで、今日では「ロマ」と言う呼称が使用されています。
By 講師T