アトリエは今日はお休みでした。
代わりで恒例の名作美術館(その32)は、前回・前々回に続いて我が国の絵画です。
副題は「 竹内栖鳳(せいほう)の猫、写生の意味 」です。
「 斑描 」
竹内栖鳳 (1864~1942) 、1924年(大正13年)制作 、東京・山種美術館 蔵 、重要文化財
( 画像は、原画の構図を一部トリミングしてあります。)
「東の大観、西の栖鳳」と言われるように、京都を代表する近代日本絵画の巨頭・先駆者の一人です。
画家は欧州に留学し、西洋絵画の技法を積極的に取り入れ、独自の画風を確立しました。
この生命感みなぎる代表作も、東西の文化が渾然一体となった傑作です。
「写生」を基本にしながらも、陰影などの立体感の把握は希薄です。
しかし、猫の体毛の柔らかで繊細な質感描写は、極めて緻密です。
金泥が施された背景に、西洋画のような三次元的表現は皆無です。
しかし、「没(もっ)骨法」による猫の体と表情は、極めて西洋的です。
画家は写真的写実性とは対極の視点と把握法で、猫の本質・生命そのものを簡潔に描ききっています。
「逆もまた真なり」ではありませんが、「写生」の意味は広く深く、多面的です。
( 画面内クリックすると拡大画像が得られます。)
By 講師T